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雪が来る前に―涸沢岳へ [北アルプス]

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今朝の北穂高岳は、昨日とは一転して深い霧の中にあった。

頂上を示す標識もぼんやりして、足元の岩には霜が下りていた。

岩の上を雷鳥が一羽、チョコチョコと右に行ったり左に戻ったりして、そのうちに岩の向こうに姿を消した。

その仕草に私達の顔がほころぶ。

さあ今日の旅を始めよう、すべる足元に気を付けながら。

 

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まずは岩尾根の下りから。

前に見える丸印の所が私にはヤバイ。

岩を抱くように回り込むのだが、突き出たお腹と胸前にぶら下げたカメラバッグが邪魔になりそうだ。

A君が「雨だしカメラをザックに入れたら」とアドバイスをくれるが、そうすると写真が撮れないのでとりあえず断った。

案の定少し引っかかったが、カメラバッグを岩の上に持ち上げて、お腹をぐっと凹ませてホールドをしっかりつかんでクリア。

この先もっとシビアな所ではザックに入れなければいけないかもしれない。

 

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スタンスを探して右足が空中をさまよう。

岩は濡れてすべりそうだし、打ち込まれたピンはそれより更にすべる気がする。

しばらくするとスタンスを探し当てたのか、スルリスルリと念のため繋いだザイルが伸びてゆく。

見えなくなったと思ったら程なくOKが出て、今度は私の番だ。

案外こういう場所は得意なのだと自分では思っている。

 

 

           acDSC_0760.jpg

おい、なんだかつまってないか。

下から右だ左だと言って焦らすのも良くないし、今日は対向者も順番待ちもいないので遠慮なくゆっくりやってくれればいい。

私はカメラを構えて何枚かとっていると、そのうちぐいぐいと登りだして岩の向こうに消えていった。

もう少しで一旦岩場は終わるのだが、心配なのは空模様。

奥穂高岳の登りからまた岩っぽくなる。

今日の天気の回復は望めないし、このまま気温が下がって雪となれば少なからず厄介になる。

さてどうしたものか。

 

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涸沢岳、ビッグネームに挟まれた地味な3110m、と思っているのは私だけか。

穂高岳山荘からはほんの20分、朝夕に登ってくればきっと素晴らしい光景を目にすることが出来るだろう。

そして涸沢槍。

山を始めた頃に見た雑誌の写真。

無骨な穂高の中にあって、端正なピラミッド、私のお気に入り。

私:涸沢槍は?  B君:さっき過ぎちゃったよ。もう涸沢岳だよ。

いつも肝心要が抜けてる間抜けな私。

まあいいか、どっちみちこの天気じゃ見えないだろう……寒い霧の頂上にサヨナラ言って小屋に行こう。

 

                    2011年10月5日 北穂高岳から涸沢岳へ3000m稜線を歩いて

 


nice!(71)  コメント(17) 

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コメント 17

hatumi30331

こ、こ、恐いんですけど〜〜〜〜〜〜〜〜〜!^^:
by hatumi30331 (2011-10-30 14:28) 

nousagi

いやぁ~、滑りそうなの嫌ですね。
絶対滑りますね。
カメラ、やっぱりそれでもしまえませんね。
だって、いちいちしまったり出したりしてたら
こんなリアルな写真、撮れませんものね。
by nousagi (2011-10-30 15:34) 

ken_trekking

朝に霜が付いているのって嫌だったでしょうね~
ほんと気を使うレベルが段違いになりそうで緊張
してしまいそう。
それにしても涸沢岳。たしか涸沢から見て凄く
きれいな尖峰に見えていたやつかなぁ。あれ、僕
大好きなんですよね。まるで槍ヶ岳のような。
それを通り過ぎちゃったらちょっとがっくりくる
かもしれないです。
by ken_trekking (2011-10-30 17:05) 

fukusuke

しばらくチェックできずにいました。。。
大キレット同様に北穂~涸沢岳間は危ないと聞いたことがありますが、どうだったんでしょうか?ザイルはアンザレンですか?
海外みたいにカラビナで確保しながら歩けるようになっているんでしょうか?
いつか行けるようになりますかねぇ。。。
by fukusuke (2011-10-30 19:03) 

よしころん

うぅ~~ん、ガスってると余計恐い~~ ToT

カメラ、私もほとんど片付けないので、ボディーは結構傷ついてるかも…
よくがんばってくれています。
by よしころん (2011-10-30 19:53) 

海を渡る

私は行った事がないですが、
穂高連峰の一番いいところなんでしょうね。
天気が良ければ最高だったでしょうね。
by 海を渡る (2011-10-30 20:12) 

yuuri

うーわ…
すごいコワイです。
山岳写真撮られる方、本当に尊敬しちゃいます。

by yuuri (2011-10-30 21:17) 

ナツパパ

個人的にはこういうところには絶対いけませんので、山子路爺さんの写真を
とても興味深く拝見しました。
岩に描かれたマークが良いですね。
このマークで描いた方と登山者の意志が通じているところ...
これを書いてくれれば大丈夫という登山者と描く方のこれで大丈夫だよな、と
...お互いの技量を信頼しているような感じがして。

by ナツパパ (2011-10-31 08:20) 

テリー

ぬれている時は、慎重に行った方が、いいですね。
昨年、北穂高岳にンぼったとき、ついでに、涸沢岳、奥穂高まで、行こうかとも、思いましたが、少し、バランス感覚が良くなかったので、止めて、そのまま北穂高から下りました。いつか、涸沢岳に登りたいですね。
by テリー (2011-10-31 12:29) 

cjlewis

こんなところで、カメラぶらさげたままって、、、
過酷過ぎます~
by cjlewis (2011-10-31 12:46) 

ayasolo

こんにちわ!
お久しぶりです。
といいますか.....よくこの状況でカメラ構えられますね!
もうプロの意気込みを感じます。すごい臨場感です
by ayasolo (2011-10-31 12:58) 

タッチおじさん

スゲー!
霧の中滑りませんか!その上撮影ですか!
by タッチおじさん (2011-10-31 13:49) 

山子路爺

to hatumi30331 さん
怖いですよぉ~~~。もしも足を滑らしたら……考えたくないですぅ~~。
そういう事は非常に稀なことですけど。

to nousagi さん
霜と溝には氷のツブツブも……。
胸前にカメラバッグは足元の視界がケラレるので本来はNGかも。
何時でも取り出せてしかも安全という方法は……模索中です。

to ken_trekking さん
涸沢から見て涸沢岳の右に槍ヶ岳と思われるような尖がりの涸沢槍……いいですよね。
本当に槍ヶ岳と間違う人がいるとか。カッコイイと思います。
テッペンには登れないでしょうけど。

to fukusuke さん
どちらから行っても約2時間、大キレットよりは短いですがその分岩場の密度が濃いように感じました。ザイルを出したのは写真の2箇所、後のほうは鎖にアンカーを取っています。一般的にはザイルは必要ないですが、岩が濡れていてスリップすると大事ですのでねんのために。

to よしころん さん
ハハハ、晴れていると滝谷のそこが見えますよぉ~~。本当かなぁ。
以前は裸で携帯していたのですが、汗でファインダーが曇ったりアチコチにぶつけたりで困っていました。現在はホルスターに入れて邪魔だと思いつつ胸前で保持しています。

to 海を渡る さん
お天気がねぇ~。でもこんな日はかえって後になって思い出深い一日になるかもしれませんね。
槍ヶ岳~穂高岳周辺は何処を登っても楽しいですね。
まだ通っていないルートもありますので、これからも通いたいと思います。

to yuuri さん
イエイエ、疲れたときに一息入れる為にパチパチ撮っているだけなのです。
この辺りは事故も起こっている所なので、気をつけてこれからも頑張ります。ヨロシク!

to ナツパパ さん
一般ルートなのでしっかりマーキングがされています。もしこれが無ければ、自分でルートファインディングしなければならず、私などはとても行けません。
穂高岳はとても楽しいところです。こういうルートを辿った後、若い人の中にはもっと難しいルートへ憧れて、クライミングへと移行するのかもしれません。私は爺なので諦めていますが。

to テリー さん
このルートも結構緊張しました。
穂高は何処でも一筋縄では行きませんね。
でもまた行きたくなるのは何故でしょうね。

to cjlewis さん
シンクタンクのホルスターに入れて胸前においています。
これだとすぐに取れ出せますので、両手がフリーならば何時でもOKですよぉ。

to ayasolo さん
安定した場所に立っていますので大丈夫です。
いい加減人間ですので、意気込みはさほどでもないですよ。

to タッチおじさん
霜が下りていたり、溝に氷の粒があったりで気持ちは良くないですね。
それでも結構トラクションはかかっていましたよ。

by 山子路爺 (2011-10-31 14:56) 

おど

折角の展望がキリの中でしたか・・・。 しかし、高度感がまるでないので、怖さは半減していいです?ね。 カメラバッグは危ないですよ。 通常の登山でも、お腹や胸にバックなどは下が見えなく危険だと言いますからねぇ。 カメラは、メインとサブ(デジカメ)で使い分けるのがいいのでは?
by おど (2011-11-01 00:04) 

山子路爺

to おど さん
アドバイスありがとう御座います。
現在使用中のバッグはThink Tank Photoのホルスターです。標準ズームがフード付きですっぽり収まり、取り出しも楽です。やや左側に寄せて保持していて、私は右利きなので左足の甲が視界に入っています(勿論右足も)。このため今までは転倒などはしていないのですが、岩を抱くようなトラバースなどは、はじかれる危険はあるかと思います。なかなか良い方法が無くて、今も試行錯誤中です。
by 山子路爺 (2011-11-01 01:08) 

asa

涸沢岳は地味ですが、結構きついですよね。
雨の中、事故がなくてよかったです。わたしも、カメラはザックの中にしまえませんね。
でも、僕にはもう無理だな、このコースは…。
by asa (2011-11-01 09:58) 

山子路爺

to asa さん
北穂高岳⇔涸沢岳は結構危険地帯がありますね。
濡れているピンが滑りそうで……。晴れていればサイコーですけどね。
カメラ保持の方法はすれ違う人のを見たりしているのですが、これと云う物が無いですね。
いっそカメラを小型軽量化して……ニコン1 V1なんかいいかな……資金が無いけど。
by 山子路爺 (2011-11-01 14:21) 

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