雪まみれ―行ける所まで [北アルプス]
7時にセットした携帯が鳴る。
慌てて飛び起きると、東の空に太陽があった。
「太陽が出てるよぉ~」
「アルプスは雲の中だよぉ~」
「えぇ~!」
外に出てみると、白馬岳も八方尾根も遠見尾根も灰色の雲の中。
「天気の回復は望み薄だけど、行ける所まで歩いてみるか」
「OK、今日はアイゼン持って行こ」
急いで準備に取り掛かった。
『これより先はスキー場の管理区域外』の立札から足跡の全く無い雪面に入る。
しばらく登って振り返ると、私たちのトレースを辿って3人組がすごいスピードで追いかけてくる。
先頭の男 「Haaai!」
2番目の男 「Konitiwaa」
3番目の男 「……」 (荒い息)
爺 「Where are you from?」 (ぎこちなく)
先頭の男 「※〇×△&…………Colorado」 (先の部分は理解できず)
爺 「Colorado? USA?」
先頭の男 「Yes 〇△$&▽beautiful country!」(コロラドが美しいのか、白馬村が美しいのか…多分後者だと思うのだが…)
2番目の男 「Have a nice day」 彼らは歩き出す。
爺 「You too」 背中に声をかけると、3人は片手を挙げて又グイグイと登ってゆく。
私たちも行きましょう。
☆彼らが履いているのはスキーだと思ったらスプリットボードだった☆
風に舞い上がった雪が容赦なく顔に突き刺さる。
お天気回復の願いも空しく、冬型の気圧配置が強まってきたのだろう。
先ほどまで青空があった東の空も、今は厚い雲で覆われた。
追い抜いていったコロラド3人組は、雪庇の無いところから谷底目指して滑り降りていったが、無事に村に着くのだろうか。
そんな事を考えているうちに風はだんだん強くなってきて、「もう帰りなさい」と言っているようだ。
あの尾根の出っ張りまで歩いたら、風の言うとおりにしよう。
トレースを外れてフカフカ雪の中にドンドン入って行く。
これがスノーシューの一番楽しいところ。
フカフカドンドン……ヒャッホーヒャッホー!
…………
そしてその先は……傾斜が急になって、こけつまろびつ、昨日と同じく雪まみれ。
2013年2月 白馬村にて
楽しそうな雪歩きですね。
by テリー (2013-03-03 23:48)
日本の雪山で外国人と遭遇するのって、なんか不思議な感じですね。
でも、とても面白い会話、出逢いでしたね!
by akipon (2013-03-04 01:26)
あ、ピッケルがお揃い?
グリベルかな^^
by よしころん (2013-03-04 08:06)
なんかすごく愉しそうですねえ。
足跡ひとつ無い雪原って良いなあ。
わたしも歩いてみたいけれど...
先ずは歩き方から練習しなければ。
by ナツパパ (2013-03-04 17:42)
スプリッドボード初めて知りましたが、便利そうですね。 最後の写真はテッキリツボ足かとも思いましたが、スノーシューでこの深さと言うことは結構フカフカだったようで、楽しめたようですね。
by おど (2013-03-04 17:45)
日本の雪が人気って・・・本当なんですね。
パウダー加減がいいんでしょうね!
1度なら雪まみれになってみたいなあ〜(笑)
by hatumi30331 (2013-03-04 20:02)
こんばんは。
足跡のない新雪は気持ち良さそうですね^^。
雪に慣れていない私はちょっと怖いですが^^。
by 海を渡る (2013-03-04 20:07)
楽しそうですね^^
ふかふかの雪を踏みしめて、ヒャッホーヒャッホー!ですね
これはたまりませんよね
by ひろたん (2013-03-04 22:57)
出会いと感動の雪山ですね^^
こんな旅がしてみたいです☆
by hide (2013-03-05 14:40)
どこまで行けたでしょう。
スノーシュー、快適ですか?
by nousagi (2013-03-05 17:25)
やっぱ冬は雪で遊ばなくちゃデス!
by CARRERA (2013-03-05 23:13)
やはり、アメリカ人はパワフルな感じですね(^.^)
by ken_trekking (2013-03-06 07:28)
アメリカ人は、平熱が37度くらいあるそうです。
だから冬でも半袖で歩いてたりします。
雪山にも強いのかなぁ・・・
by werewolf (2013-03-07 00:13)
山子路爺さん、こんばんは(*^_^*)
散文形式の詩のような文章が、とってもテンポが良くて素敵だなぁと読ませていただいています。
コロラド三人組との会話も面白いです。
それに北アルプスをガシガシ登り、谷底目指して滑り下りるなんて凄い人たちですね。
行けるところまで…わたしもこの言葉が好きです。
by sizuku (2013-03-09 21:57)
To テリー さん
とても楽しいですよぉ。
ただし安全が確保されている事が前提ですが。
To akipon さん
冬の長野県北部の白馬エリア、志賀高原エリアは外国からのお客さんが多いですよぉ。国籍も韓国、中国、台湾、シンガポールなどアジア系やカナダ、アメリカ、オーストラリアなどの欧米系などさまざまです。特にオーストラリア人はもの凄く多いですよぉ。
To よしころん さん
おやまあ!
たしかコッヘルも同じものかと……カメラもニコンかな……
ただしこのピッケルは私のではありませんが……。
To ナツパパ さん
歩き方は簡単です。スノーシューが引っかからない様に少し両足を開き気味に……後は右左と交互に足を出せば前に進みます。雪国での雪道散歩は楽しいです。
To おど さん
私も初めて知りました。国内のバックカントリーボーダーは、登りはスノーシュー、下りはボードというのが多いと思います…スキーヤーはシールをつけてハイクアップですがね。
To hatumi30331 さん
特にオーストラリアからのお客さんが多いですね。サマーバケーションを利用して、10日とか15日とか滞在するらしいです。北米やヨーロッパよりも近くて時差がないのが良いらしいです。
To 海を渡る さん
最高に気持ち良いです。
深雪スキーが出来ない私には、スノーシューが最適ギアです。
To ひろたん さん
思わずヒャッホーなどと叫んでしまいます。
誰も踏んでいない雪……嬉しくなっちゃいますよねぇ~~~。
To hide さん
外国の人と目が合ったら、なるべく「コンニチハ」と挨拶する事にしています。とてもちっちゃな国際交流ですかね。
To nousagi さん
私のスノーシューは安物で、急斜面には適していないようです。でも平坦な所は快適に歩行できます。教訓……「道具には金を惜しむな」ですかね。
To CARRERA さん
自然のあるがままを楽しみたいですね。
最近スキーだけでなく雪原などにも入り込んでいます。
To ken_trekking さん
長い足でグイグイ登って行きます。
とても付いては行けません。でも3人目の人は少しバテ気味でしたね。
To werewolf さん
そうなんだぁ。
こちらはダウンジャケットなど着込んでいるのに、Tシャツでふらふらしている人がいるんですよね。なるほどねぇ。
To sizuku さん
どうもどうも、てれくさいですぅ~。
とても滑れるような斜面ではないと思うのですが、彼らはそれが楽しみでやってくるらしいですね。雪崩れないのかと心配になります。
by 山子路爺 (2013-03-10 14:43)