試運転 [奥利根/北関東]
「始めは無理しないで、まあ高尾山辺りにしておきなさい」
……
「た」で始まる山なら地元の丹沢にしようか。
しかしこの暑さ……バカ尾根を登るにしても、表尾根を登るにして快適とはいかないだろう。
それならいっそのこと同じ「た」で始まるあの山へ。
昔、あれは4年生になったばかりの4月、IT君と谷川岳に行こうと上野駅で待ち合わせた。
ところが約束の時間が過ぎても彼は現れない。
いよいよ発車時刻が迫って来たとき、ザックを背負ってホームを走ってくる奴が……
…………
アパートを出ようとすると、田舎から急に親父が来て……
「山か、何処に行く」
「タァ~ンザワ」
「今頃の丹沢はピッケルが要るのか」
「念のために」
「…………気をつけて行って来い、今夜はここに泊まって明日帰る」
谷川岳と言いそうになって、心配かけるといけないから丹沢と言ったんだが……東京の桜も散る頃に、ピッケル持って出かける先は丹沢であろうはずがない。
「気をつけろ」の言葉に息子を思う気持ちが……。
息子も心配をかけまいと、とっさに「丹沢」と嘘を……。
そう云う訳で出るのが遅くなったらしい。
当時、一般の人には悪いイメージが定着していた谷川岳だった。
…………
ちなみに私は「スキーに……」と言ってたっけ。
今日は友達を誘って3人で……足の様子を見ながらゆっくり天神尾根を登った。
濃いガスに包まれ視界のない沖の耳でおにぎりを頬張ったのち、展望を諦めて帰りだすと、やおら霧が流れてオジカザワノ頭へ続く緑の稜線が顔を出した。
万太郎谷から吹き上がる風に笹がなびいて、葉に反射する光が波となって尾根へ駆け上がる。
しばらくそこに立ったまま、頬をなでる心地良い風を楽しんだ。
もうすぐ秋だなぁ。
…………
足は全く大丈夫だったのだが……今度はカメラ(実はレンズだった)が壊れてしまった。
翌日サービスステーションに持っていくと、入院治療代3万円也……トホホ。
2013年8月 谷川岳
上野駅での出発のエピソード
映画のワンシーンのようですね。
by hayazou2002 (2013-09-02 07:11)
「た」で復帰!
おめでとうございますヽ(^o^)丿
次はレンズ・・・ これで厄はおちたはずです! ・・・たぶん^^;
by よしころん (2013-09-02 07:33)
ご復帰おめでとうございます^^
お次はカメラの復帰?ですね。
上野駅の待ち合わせEP~
頭にシーンが浮かびました!
by hide (2013-09-02 09:26)
親孝行な一言なんですね~!!(しみじみ~)足の調子よくなりました~?(^o^)v
by macinu (2013-09-02 10:04)
親子のお互いを気づかう嘘とそれを信じるふり。
愛情を感じますね。
今は、装備やら、情報やら、助けてくれるものが多くなり
たいして体力もないオジさんオバさんでも
行けるような山が多くなりましたが、
昔は、命を張るようなところが多かったのでしょうね。
レンズの入院治療費、うわ~、痛いですね。(^_^;)
by nousagi (2013-09-02 10:33)
「た」で始まる山ですか・・・。 自分の近くに「た」で始まる山をと思って考えてみましたが、見当たりませんねぇ。 しいて言えばまだ行ってないけど、「立山」かなぁ。(笑) 意外と「た」で始まるヤマは少ないようで。
by おど (2013-09-02 12:33)
こんにちは。
復帰第一弾が谷川岳ですか^^。
霧が晴れる瞬間は気持ち良いでしょうね^^。
by 海を渡る (2013-09-02 12:41)
それぞれの山の特長は分からないのですが
何とか言い訳、嘘をついてでも行きたい心境が伝わって面白いです、
by akipon (2013-09-02 13:04)
試運転は上々のようですね。^^
素晴らしい景色に・・・
誘われる気持ちも分る気がします。^^
by hatumi30331 (2013-09-02 14:13)
復帰登山第一弾はた~にがわでしたか。
おめでとうございます。秋に間に合ってよかったですね。
緑の稜線がいいですね。
おけがには気をつけて、これからたくさん山に登ってください。ブログ更新をたのしみにしています。
by はるか (2013-09-02 17:33)
復帰おめでとうござます、とても楽しい山の話をありがとうございます。
うちも長男と谷川岳に行ったときに家内の実家の母に止められました、ロープウェーのコースなんですけどね、うちは
by ゆうくん (2013-09-02 17:52)
復帰おめでとうございます。猛暑もやっと峠を越して、これから、山のシーズンですね。
by テリー (2013-09-02 22:27)
試運転は上々だったようで、おめでとうございます。
スピード出しすぎない様にお願いします。
かっては谷川岳は危険な山の象徴でしたね。
急がず山歩きを楽しんでください。
by Jetstream777 (2013-09-02 23:25)
通い慣れ、様子の良く分かった谷川岳で、天神尾根なら試運転にはちょうどよさそうですね。
昔のその時は西黒尾根だったのでしょうか?!
by ヴェール (2013-09-02 23:41)
たで復帰ですね。
「た」・・・・
谷川岳は行きたい山です。天神尾根はリハビリには
良い感じですか?
無理をなさらずに歩いてくださいね^^
by ひろたん (2013-09-03 07:33)
復帰おめでとうございます♪
無理せず気を付けてくださいね。
谷川岳は登ったことないですが、気軽に登ってはいけないイメージが・・・
高尾山にはいつか登ってみたいです♪
by imarin (2013-09-03 09:13)
3万円は、とほほ・・・ですね。
ご無理されませんように☆
by 夢空 (2013-09-03 10:46)
怪我をしようがレンズを壊そうが、山々たちは変わらずにそこにいてくれる。
山の懐の深さ・・・確かに拝見!
by RobertCole (2013-09-03 16:37)
レンズの治療費3万円・・・
うーむ、骨折並みに痛い出費(^_^;)
でも足が治ってよかったです♪
無理はなさらないように。
by werewolf (2013-09-03 22:32)
to hayazou2002 さん
上野発各駅停車長岡行……土合に4時前に着く谷川岳登山御用達列車でした。親に内緒で山登り……無事でいたから笑い話です。
to よしころん さん
よしころんさんの好きな谷川岳です。
ロープウェイで高度稼ぎです。もう西黒登る元気は……。
to hide さん
まだまだと言われて2か月以上。ただいま固まった関節の曲げ伸ばし運動実行中です。この鈍行列車のお客さんは、一杯飲んだ後のサラリーマンのほかは尾瀬と谷川岳に行く登山者で混雑していました。
to mscinu さん
足はほぼ完治です。後はリハビリだけです。
親孝行と云うか……親不孝と云うか……。
to nousagi さん
ほとんど子供の嘘はお見通しだったでしょうね。自分も親になって何となく感じるものがありました。命を張るようなことはありませんでしたが、それでも、ヒヤリとすることも……。レンズはまだ入院中です。
to おど さん
「た」で始まる山……蓼科山とか鷹巣山とか鷹見岩とか大日岳とかが頭に浮かびました。立山……私も登っていません。理由は扇沢からの出費が痛い……なんてね。
To 海を渡る さん
視界無しだったのが、気が付けばはるか彼方まで見通せて、思わず「Oh~~~」なんて声を上げたりして。これがあるからだからやめられない……のか。
to akipon さん
私が山歩きを始めたころには、すでに500人以上の死者を出した谷川岳……「魔の山」と言われていました。しかしほとんどの遭難者が一の倉沢を中心とした岩場で、昭和30年~40年代は各ルートの初トレースを誰がやるかと競い合った時代でした。現在では各ルートは攀じられ尽くし、落ち着いた状況ではないかと思います。私たちが登る一般登山道(4月はまだ雪に埋もれていますのでそれなりの危険はありますが)での遭難は、他の山域とあまり変わらなかったのではないかと思います。誰かが「魔の山」なんという称号を与えてしまったため、一般の方々に間違ったイメージを与えてしまったやに思います。私の勝手な考えですが、間違っていたらスイマセン。
to hatumi30331 さん
上々に慣らしてきました。
もう一度最終確認の後、遅い夏休みを取ろうかと思っています。
to はるか さん
秋が深まったら紅葉のきれいな山に行きたいですね。
その前に、最後の夏山を……。
to ゆうくん さん
私も最近はもっぱらロープウェイ利用の天神尾根ピストンです。
でも当時は谷川岳と言うだけで、遭難に結び付けてしまう方も多かったのではないでしょうか。
to テリー さん
そうですね。強烈な太陽に焼かれながらの登山シーズンも終わりが近いようです。だが……天候が安定せず「山の天気予報」を見る回数が増えてしまっています。
to Jetstream777 さん
歩くスピードも車のスピードもノロノロですよぉ~~~。
谷川岳の印象は最近ずいぶん違うようですね。一の倉沢などに入らなければ楽しい山歩きが出来ますよね。
to ヴェール さん
その頃は、厳剛新道から入って途中の適当な所で形ばかりの雪訓をやったのち西黒尾根に上がるのが私たちのいつものルートでした。今では滑落停止どこらか、転んだ時に自分のピッケルでけがをするかも。
To ひろたん さん
天神尾根はゆっくり歩くのにちょうどいいですよ。
若者に追い抜かれ、おじさんおばさんたちとは抜きつ抜かれつしながら頂上を目指します。好きな山です。
to imarin さん
天神尾根はさほど危険個所もなく、足ごしらえさえしっかりしていれば尾根上の一本道です。一度湯檜曽川を挟んだ対面の白毛門の然るべき所から一の倉沢を撮りたいと長年思い続けていますが、未だ実現しておりません。
to 夢空 さん
え~と、お小遣いが○○で……その中から3万円……赤字じゃあぁ~~~。
こちらはかなり無理をしないとならないようです。
to RobertoCole さん
けがは自分が悪いので仕方がない。レンズは原因がわからない。落とした訳でもぶつけた訳ででも……。でも壊れてしまったのはしょうがない。治ってくれることを願うばかり。新調は難しい現状なので。
to werewolf さん
リハビリも痛いけど3万円もかなり痛いでござんす。
でも早く戻ってこないと写真が撮りにくい……現在古いレンズ使用中。
by 山子路爺 (2013-09-04 13:19)
「クライマーズハイ」と言う小説を思い浮かべてしまった・・・
やはり丹沢山系はまだ辛いですよね
なので私の山はもう少し先ですw
by みなと (2013-09-07 00:10)
to みなと さん
丹沢のいい時期も近づいて来ましたね。
涼しい風が吹く頃にはヒルの活動も下火になるでしょうから、鍋割山荘のなべわりうどんを食べに行きたいですね。
by 山子路爺 (2013-09-13 15:23)