山子路爺のネパールトボトボ旅ー4 [ネパール]
★高度順応・第二弾
ゴラクシェプから5,550mのカラパタールへ
早い朝食
寝る前半錠朝食後半錠のダイヤモックス、念の為
空に煌めく星明り
地面を照らすヘッドライト
寒さの為か眠気の為か皆んな無口
ロッジ前での準備体操
「そろそろ行きましょう」とラメッシュの声
歩き始めて20分
もの凄く手が寒い
ラメッシュが冷えた私の手を揉む
痛い!
「爺さんその手袋じゃ無理!厚手のやつに変えよう」
フェルトの手袋を重ねる
握ったり開いたり手の屈伸運動
温もりが帰ってくる
行く手にプモリ(7,165m)が薄ぼんやりと
そこに向かっている感じが嬉しい
「来春はあの頂に立っているよ」とラメッシュが言う
願わくば私も……と思わなくもないけれど所詮無理な話
山の向こうはチベット
国境付近(と言っても距離はあるんだけど)をブラブラしてるなんて
いかにも冒険しているみたいで気分が良い
あれに見えるは
地球上で一番高いところでは……
朝日がピンクに染めるのは雲か雪煙か
とてつもないデカいピラミッドがドスンと
その南の岩壁を何日もかけて登るやつがいる……物好きなやつが
でも、何日も歩いてこんな所まで来る自分も物好きの部類に入るかも
やっと太陽が顔を出す
山々の背後の空が明るくなると
みるみる青空が広がって
これで寒さから解放されるだろう
ヌプチェの右肩から強烈な光が
出来ることなら左奥のエベレストとの間から出てくれればなんて思うのは多分贅沢
それにしてもヌプツェ(7,864m)はカッコイイ、エベレストよりと思うのはきっと私だけ?
カラパタール(5,550m……置いてあったプレートには5,643と書いてあった)
すでにプモリは太陽を反射して輝いているのに
ここはヌプツェの影になっていて日が当たらず寒い
先ほどのぬか喜びは何だったのか
風が弱いのがせめてもの救い
眺めはサイコー
エベレスト・ヌプツェ・プモリ・ローツェ・ピーク38・チョオユー・ギャチュンカン……国境の山々……7,000m8,000m……見えたの?見えなかったの?
そんな事はどうでもいい
このスケールの中にいる幸せに浸ればいい
でも、最終目的地はここじゃない
そこにたどり着けば今見えていない山々の見ることができるかもしれない
これで高度順応は終り
高度障害も感じられず順応はうまくいっている……ダイヤモックスの効果かもしれないけど
ディンボチェ(4,410m)まで戻り休養、その後目的の場所へ
さて、もうひと頑張り
2018年10月〜11月 ネパール
山子路爺のネパールトボトボ旅ー3 [ネパール]
★ディンボチェ(4,410m)~高度順応(5,080m)~ディンボチェ~ロブチェ(4,910m)~ゴラクシェプ(5,140m)
★今日は高度順応日
5,000m強の展望台まで標高差600m程を往復
NangkarTshang(5,616m)へと続く幅広い尾根の途中まで
朝の歩き出しは何時もキツイ
そして今日はことのほか寒くポール持つ手が痛い。
メインガイドのラメッシュ(右)とポーターのテック
彼らは憎たらしくもスイスイと登ってゆく
ラメッシュ:「爺さん、ジグザクじゃなくて真っ直ぐ登って、トレーニングなんだから」
爺さん :「・・・」
返事をするのも億劫だが歩けないほどでもない
一応ダイヤモックス飲んでおいたし。
ヒーフーハーフ―
タルチョを繋いである岩の所(本日の目的地)
天気晴朗なれど風強し
人生初の5,000m超え
思ったほど息苦しくはなかったけど
楽勝と言う訳ではなかったね。
この先は痩せた岩尾根となりNangtarTshangh(5,616m)へと続く。
タルチョが伸びている先の岩峰まで行けそうだが……落ちれば一巻の終わりは目に見えているし……爺さんには勿論無理だし……そんな気もないし……今回のトレックの最終目的地はここではないし。
でも、誰かがトップを取ってガイドし私をビレーしてくれるなら……嘘嘘!
さて、だいぶ体が冷えてきたので下るとしましょう……下りは早いぞぉ~一気だぞぉ~。
★これから先はしばらく4,000mを下回ることが無い……無いどころか更に高度は上がる
山裾に広がる高原状のゆるやかな登りを行く
緩やかなと言っても標高は4,500m以上なので空気はうすい
ラメッシュが「爺さん大丈夫?」と私の様子を気にかけてくれる、高度障害が出ていないかどうかをね。
行く手の左側のTabuche(6,367m)Choratce(6,335m)その先にはArakamTse(6,423m)等美しい峰々をを眺めながら高度障害が出ないようにゆっくり歩く。
山裾には何本ものトレールがあって何処を歩いても何処で休んでもOK。
私達もよそのパーティも思い思いに歩いている。
ただし、ヤクの落とし物には要注意……古い物ならいざ知らず新しい物も結構多いから。
大勢の人が休んでいる地点(Tomostonsと言うところかもしれない)に着いた。
皆が休憩をとっている訳は、急な登りを登り終えたからだけではなくたくさんの墓碑があるから……その中には山岳関係のものも……私の記憶が正しければ。
振り返ればAma Dablam(だと思うんだが)、雲があるのもアクセントになってがカッコイイと思う。
たぶん皆なのカメラに同じような絵が記録された事でしょう。
黒々とした岸壁や真っ白な頂上を眺めて高原歩を歩き、早い流れに掛けられた危なっかしい橋を渡り、着いた所がThuklaのロッジ、そこでお茶休憩していると単独行の日本人がやって来た。
どうやらノープランで気の向くままのトレッキングをしてるらしい。
本当はそういう旅をしたいものだが、残念ながらそんな事が出来る年齢はとうに過ぎ去ってしまった。
まあ、一か月弱の長きにわたって山に入れる幸せを味わっているわけだが、人とは欲張りでしょうがないものだ。
十分休憩をとったらロブチェまでもうひと頑張り、そして明日はエベレスト街道最奥のロッジがあるゴラクシェプだ。
5,000mオーバーでの泊はどんな感じだろうか、かなり寒いのだろうか。
大体そんな所に人が住んでいること自体が信じられないのだが……。
辺りは荒涼として僅かに枯れた草があるだけの殺伐とした風景、その上にそそり立つ高峰が白く輝く。
トレッカー達はサイドモレーン(というのが正しいかどうかは分からない)間を歩いて行く。
Khumbu氷河沿って歩きLobuchePass(5,110m)を越えて一旦下って登り返せばゴラクシェプ。
さほど息苦しさを感じないのは高度純化がうまくいっているからだろう。
周りの山々はさらに高度を増し7,000m以上、PumoRi(7,165m)Nuptse(7,861m)Lhotse(8,414m)そしてまだ見ぬSagarmatha(Mt.Everest 8,848m)、明日はさらに高所に登る予定だからこれらをまじか見ることが出来るだろう。
それにしてもだしぬけにモレーンの上に顔を出した尖がった真っ白いPumoRiは感動ものだった……格好の良い山だ。
ラメッシュが「来年春登る予定なんだよPumoRiに」と嬉しそう語った……山が好きなんだなぁ~この人は。
そのラメッシュがロッジで盛んに言う「爺さん横になったりしないで外を散歩してきてね」って。
寝てしまうと呼吸が浅くなって高度障害が出やすくなるからだろう。
10分程で戻って来ると「もう少し5,000mの空気に慣れてきて」と追い出される。
しょうがない、少し周りの景色を撮って来るか。
2018年 10月~11月 ネパール