御座山 [秩父/多摩]
(イワカガミの可憐なピンクが所々にあった……これがイワカガミなのかコイワカガミなのか、はたまた全く別物なのか)
頭の中のスケジュール表には「槍ヶ岳」と記、されていたが……
諸々の事情で諦めざるを得ない状況となってしまった。
せっかくの休みに何処へも行かず、ウダウダと家で寝転がっていても……
「掃除洗濯食器洗い」の命令が下されるのは火を見るより明らかだ。
そこで、ちょっと山を歩いてその後お正月にもらった「ホテル宿泊券」でのんびりしてこようと提案した。
ホテルの近場で3~4時間で往復でき、未だ訪れていない山は……ホテルからは少し遠くだが、標高も2000m以上あり頂上は岩の上で見晴らしも良いだろうし、5月の終わりならうまくすればシャクナゲにも会えるかもしれない……そんな期待を込めて御座山を選んだ。
林道の終点に車を止め、前輪にストッパー代わりの石をかませ、自分の影がやっと分かる程の曇り空の元、久しぶりの登山靴の感触を楽しみながら急坂をぐんぐん登った。
頂上にいた先客と何処から来たかとか、最近登った山の事など他愛もない言葉のやり取りを、途中のセブンイレブンで買い求めたお稲荷さんをほうばりながら交わした。
期待したシャクナゲは全く咲く様子もなかったが、代わりに所々に咲いていたイワカガミが疲れを吹き飛ばしてくれた。
頂上での展望も八ヶ岳や秩父連山が薄っすらと見える程度でもうひとつだったが、都会のとは全く違う澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、もうそれだけで持病の喘息が何処かに飛んで行く様な気がして爽快な気分になった。
2013年5月 御座山にて
頂上―瑞牆山 [秩父/多摩]
あんなに晴れていたのに……
頂上に着くと、急にガスが上がってきて辺りを隠そうとした。
慌ててカメラを出して青空の見えるほうにレンズを向けた。
八ヶ岳も南アルプスも富士山も近くの金峰山さえも雲の中に行ってしまった。
少しゆっくりしよう、昼ごはんを食べている間に顔を出してくれるかもしれない。
久しぶりにプリムスに火を入れた。
瑞牆山の頂上は大っきな岩の上。
フィックスされたロープをつかんで「ヨイショ!」と登れば、反対側と両サイドは絶壁となって切れ落ちて、すこぶる眺めが良い。
岩の端のほうに立って覗き見ると、お尻のあたりがゾクゾクする。
へっぴり腰で3~4枚写真を撮ったら手ごろな岩に落ち着いて、紅茶を飲もう。
後で相棒が心配そうにしているから。
2011年9月13日 瑞牆山にて
山の帰り―瑞牆山 [秩父/多摩]
午後の光を受けて稲穂が輝いていた。
その美しさに思わず車を止めて、何枚かシャッターを切った。
先日の台風のためか、倒れている箇所も少しはあったけれど、多くはしっかりと実りをつけて誇らしげに立っていた。
手塩にかけられた稲は、もうすぐ刈り入れの時期を迎える。
2011年9月13日 瑞牆山からの帰り道にて
大岳山 [秩父/多摩]
今日は楽して ケーブルカー
御岳山から歩き出し奥の院と鍋割山
大岳目指してホッホッホッホホイサッサ
最後はシャリバテ 嗚呼くたびれた。
オムスビ食べたら下ります
「ケーブルカーは20分ヨ」と言って追い抜く若者に
必死に付いて歩きます
乗り場に着いたその時に「ゲート閉めます」のアナウンス
アレアレ あんなに急いで乗り遅れ。
紅茶沸かして 若者誘って一休み
ビショ濡れシャツを着替えたら 孫の家までドライブだ。
金峰山小屋-夜 [秩父/多摩]
ビュービューと風が小屋の周りを駆け回っていた。
小屋に着いたときには見えていた瑞牆山も、今は霧に閉ざされて見ることは出来ない。
夕食後、消灯までの時間を炬燵にあたって持ってきた本を読んだ。
今夜は泊り客が多く、周りでは山のあれこれの話が渦巻いていた。消灯前に喧騒を逃れて二階に上がり、布団にもぐりこみヘッドランプをともしてさらにページをめくった。
夜中に星が瞬くようならば、その姿をカメラに収めようと用意だけはしてライトを消した。
願いは叶えらる様子もなく、友より送られた「夜間撮影露光表」はバッグに収まったまま出番は廻って来ないだろう。
金峰山小屋-2階の窓 [秩父/多摩]
霧が小屋を包もうとしていた。今日は残念なことに八ヶ岳の姿を一度も見ていない。
晴れていれば八ヶ岳に沈んでゆく夕日を眺めながら、小屋の彼女をまねてベランダでコーヒー飲を飲むのを楽しみにしてきたが、それは次の機会になりそうだった。
着いてから、小屋を見て廻ったり、少しシャッターを切ったりして、することも無くなってしまった。明日の用意を今からするのもバカバカしく、それに億劫だ。
食事の声がかかるまで本でも読もうとフカフカの布団にもぐりこんだ。
金峰山小屋-布団 [秩父/多摩]
大体において山小屋の布団は評判の良いものではない。湿っていて重く、臭いがあることも……
限られた時間の中で限られたスペースに大量の布団を干すのは、それは大変なことだと思う。かといって麓まで下ろすことも儘ならない。
これらのことは、ロケーションの良さに免じてあまり文句を言わないことにしていた。
ところがここの布団はどうだろう。フカフカだ、フカフカの羽毛布団なのだ。しかもカバーが着いて他人の汗の感じがまるで無い。どういう風に管理しているのだろうか、たまたまシーズンが浅いからこうなのだろうか。
今思えばそのあたりのことも聞いてくればよかったと少し後悔している。