鹿児島 [九州]
訳ありで鹿児島へ
訳と言っても大した訳ではなく、ただマイルを使って行くことが出来る選択肢の中に鹿児島あっただけで、他は帯広とか寒いところで、まあ寒い所もそれなりに良いとは思うのだが、前回寒い所に行ったので今回は南の方かなぁ、というだけのことで、それで鹿児島へ。
鹿児島に行くとなれば霧島方面もあるけど、宿が指宿なので道順としては開聞岳という事で、6時25分の便で出かけて、開聞岳登って、温泉で一泊、翌日砂蒸し風呂に入って鶴丸城によって、16時10分の便で帰るというスケジュールで結構忙しかった。
開聞岳に向かう途中池田湖湖畔を通ると、道沿いの菜の花が満開(宿の人はもう盛りは過ぎた)で、その向こうに開聞岳が見えいたのだが、先に頂上を往復して帰りに写真を撮ろうと思ったのが間違いのもとだった。
山を下って宿に向かう途中に立ち寄った時には16時半を過ぎていて、撮るには撮ったのだが、陽は傾きかけていて菜の花の色が冴えない黄色に写って、ストロボでもあれば多少は救いがあったのかもしれないがそれも無いし、私のテクではどうにもならなかった。「アッ!」と思ったらすぐに撮らなきゃ……。
円錐状の開聞岳は、らせん状に時計回りに高度を上げながら歩き、ほぼ1周回って半径が小さくなると頂上に着く。
頂上からの眺めはすこぶる良く、池田湖の先には桜島が、南には屋久島や種子島が望めて気分のいいところだった。開聞岳も馬鹿にしたものではないなぁ~と少し見直した。
2017年1月 開聞岳
伊万里と唐津 [九州]
もし気に入った器が手ごろな値段であったら、二つほど手に入れてこようかなどと話し合って出た旅。
初めから大川内山へは行けば良かったものを、伊万里市内をブラブラして持ち時間はあっさりオーバー。
器を手に入れるのは諦めて宿のある唐津へ。
観光らしい観光も出来ないまま、一応唐津城だけでも押さえておこうと閉館ギリギリに城内の階段を駆け登って、おりからの強風に煽られながらきっとぶれているだろう写真を何枚か撮った。
宿に帰って一風呂浴びれば、もう一つの楽しみの食事時間。
140年続く旅館の板前さんが作る心づくしの料理は勿論の事ながら、なんといってもそれを盛り付ける器が素晴らしい。
中には人間国宝中里太郎衛門が焼いたものもあり、だいたいこう云うものはガラスのむこうに飾ってあるものだが、それを惜しげも無く目の前に。
日頃焼き物などに興味のない私でも手に取ってしげしげと眺め撫でまわして感激する事しばし。
焼き物の事、唐津くんちの事、そして五郎丸の事など中居さんとする話も楽しく、気が付けば2時間以上もたっていた。
翌朝、女将さんたちの見送りを受け福岡空港へ。
少し時間はあるので地下鉄で博多へ出たのは良いが……カギが……自分のカギをレンタカーのそれに付けたまま返却……博多のラーメンも食べないままUターン……相棒ぼやくことしきり……。
そんなこんなで初めての佐賀県訪問正味17時間はあっけなく終了し、福岡空港から孫の待つ保育園に直行。
今度はゆっくり行かねば。
2015年11月 伊万里、唐津
屋久島―おまけ [九州]
貴方はフクロウさん? エッ、違うの?
貴方はゾウさんよネ。
何処から登ってきたの?笑顔がとってもすてきヨ。
屋久島の山頂はほとんどが大岩の上で、そこからの眺望がすこぶる良いのです。
そして途中の斜面にもユニークな形の岩があちらこちらにあり、私たちを楽しませてくれます。
ここにUPしたもの以外にもたくさんあると思いますので、歩きながら探してみるのも楽しいかもしれません。
だらだらと屋久島の事を書いてきましたが、これで区切りにします。
ご訪問いただいた皆様、ナイス&コメントを頂いた皆様有り難うございました。
最後に、4日間の休みに何処に行こうか迷っているときに、悩みを解消してくれた二つのブログがありました。
それは、ふかぴょんさんのブログ(http://fukapyon.blog.so-net.ne.jp/)とspindleさんのブログ(http://mskym.blog.so-net.ne.jp/)です。
この二つのブログにあった「屋久島」の文字に引かれて行き先を決定しました。ふかぴょんさんそしてspindleさん有り難うございました。
それではまた他の山小屋から……。
山子路爺
屋久島―翌日 [九州]
モッチョム岳を眺めています。
昨夜は風呂と夕食の後は何もせず、荷物から本すらも出さず、ベッドの住人になっていました。
目が覚めたのは、ちょうど朝陽が登る時刻でした。
ベランダに出て椅子に腰掛け、前回あのテッペンに登ったことを思い返してみました。
頂上からの眺望、風があった痩せ尾根、思いのほかのアルバイト……あれもこれも全てが良き思い出です。
「今日もう一回登ってみるか」と問うてみると、「止めておこう」の返事が返ってきました。
それでは朝風呂にでも行ってきましょう……。
車で永田の浜に来ています。
防波堤に車を止めて永田岳と思われる方を見上げました。
通りがかりの青年に「ここから永田岳は見えますか」とたずねると、「雲があって今日は見えませんね、晴れていればね」と彼。
その後、何時何処から来たのかとか、昨日はどうしたとか、残念だが今日帰るとか、お定まりの会話を交わしました。
彼の笑顔と、別れ際にもらった「これからも良い旅を」の言葉がとても心に残りました。
屋久島―下山 [九州]
木漏れ日の中を歩いています。
もう樹林帯に入り展望はありませんが、木々が強い日差しを遮ってくれます。
時々立ち止まって写真を撮りますが、本当の理由は息を整えるためです。
これは、前を行く人にはナイショです。
戻ってきました。
沢音が聞こえからしばらくして流れの淵に立つことが出来ました。
橋を渡るときの空気の流れが心地よく、思わず足が止まります。
今度訪れるときも、いえ永遠にこのままであり続けて私たちの心を癒して欲しいと思います。
投石平に賑やかな声が登ってきます。
「何処から来たの?」 「***から」 聞き取れなかったので
「永田?」 「もっとこっちこっち」 右手をふります
「宮之浦?」 「いき過ぎいき過ぎ、ハハハハハ」
別れ際先生に「いい子たちですネ」と言うと、先生は「外面ばかりで……」と嬉しそう。
淀川小屋で、少女たちに話しかけると、上で会った子達と同級生でした。
今夜はここに泊まり、明日小屋の掃除をした後に下山するそうです。
そういえば鹿の沢小屋も、永田の中学生たちが「嶽参り」の折に、小屋の掃除をすると聞きました。
私たち利用者は彼らに心から感謝しなければなりません。
しっかりした小屋を無断無料で使っているのだから。
あと30分、元気を出していきましょう。
この後、温泉が待っています。
屋久島―折り返し [九州]
朝4時、満天の星空だった。
しかし歩き出すと、時々雲が湧き上がり、遠くの景色を隠した。
シルエットになったローソク岩が、流れる雲に突き上げ、まるで巨人のようだった。
そして永田岳の肩に出ると、二人は眩しい太陽にむかえられた。
昨日さんざん苦労した永田岳を、さほどの疲れもなく乗り越えて焼野三叉路まで来た。
水入りの休憩をとって、新高塚小屋から登ってきた男性と一言二言言交わす。
初めて会った人なのに、なぜか親近感をおぼえ心が和む。
彼は「またどこかで……」と永田岳へとむかって歩き出した。
さあ宮之浦岳へ登り返そう。
もちろんコルコバードではありません。
宮之浦岳からの下り、黒味岳をピストンするかどうかを迷いながら歩いていた。
投石平で会った地元中学校の先生に、眺めの良いところだから是非立ち寄るといいと言われ決心した。
分岐から30分ほどで着いた頂上は、先生の言ったとうりの雄大な眺めで、2日間の山旅の最後に相応しいものだった。
屋久島―石楠花 [九州]
やっと会えた。
くたびれて、石楠花の事は忘れて歩いていた。
永田岳から鹿の沢小屋に下る途中、陽だまりに突然ピンクのつぼみが見え、そのいくつかは開きかけていた。
ここに来るまでは、つぼみは小さく硬く、全く咲く気配もなかったので、この花たちがことのほか美しく感じられた。
思わぬプレゼントに、私達はしばしの休憩をとザックをおろした。
屋久島―鹿の沢小屋 [九州]
「小屋が見えたよ~」
この声で8時間余りのトレックは終了となった。
小屋は年季が入った石造りで、いかにも避難小屋らしいこじんまりしたいでたちが好ましかった。
通路は土間で両側はそれぞれ二段の板の間、中ほどには囲炉裏あって、燃えさしが残っていた。
備え付けの箒で軽く掃除をして、左の下段を今夜の寝場所ときめた。
それから外の板敷きに陣取って、紅茶を沸かし、しばらく日向ぼっこした。
昨夜、本を片手に寝てしまった。
夕食まで残りを読んでしまおうとザックから取り出したが、数ページも読まないうちに靴音がして、青年が「こんにちはー」と現れた。
板敷き一杯に広げていたシュラフやら食料やらを慌てて片付け、彼の場所を作った。
「たぶん、もう2人来ると思います、途中で抜かしてきましたから」。
どうやら今夜のお客さんは5人のようだ。
物音で目が覚めた。
携帯を見るとちょうど0時だった。
カサカサとポテトチップの袋をいたずらしているような音が、向かいの2人パーティの方でしていた。
夜空の写真を撮ろうかと一瞬思ったが、眠気のほうに軍配が上がった。
「ネズミ君、今は君たちの時間だから私は寝ます。なるべくこっちには来ないでね。」
(下の写真は、寝る前7時半ごろ撮ったものです。右半分はヘッドライトの光で真っ白だったので切りました)
屋久島―永田岳 [九州]
笹原をわたり来る風が火照った体に心地よい。
ロープをつかんで登った大岩の上、眺めの良い永田の頂には我々だけがいる。
宮之浦岳や黒味岳の山々も、屋久島の深い森も視界の中にある。
北の方、岩に鎧われているのは障子岳でしょうか。
風の中に立っていると、体はどんどん冷えて寒さを覚えるほどに。
今日の目的地、鹿の沢小屋はここから下ってもうすぐ。
「冷て~」と言いながら冷え切った背中にザックを背負った。
屋久島―馬酔木 [九州]
「白いのが馬酔木だよ」とガイドさんの1人が教えてくれた。
宮之浦岳から石楠花を見たいと言うと、「残念ね、ちょっと早かった」と言って笑った。
今日、このガイドさんたちは、お客さんの案内をしているのではなく、捜し者をしているのだ。
そしてリーダーの指示に従って、それぞれの持ち場に分かれていった。
馬酔木の向こうに永田岳が見える。
今日の目的地はあれを越えなければならない。
あと2時間半、あるいはもう少しかかるのかかるかもしれない。
私はザックをゆすって気合を入れた。
今、少し不安な気持ちです。
それは、はたして写真の白い花が本当に馬酔木なのかどうかということです。
私は大の植物オンチなのです。