仕事ではないけれど特別な用事―その1 [中国/四国]
案の定遅れました。
お城に続いて武家屋敷を回って、門番(?)の方の説明を聞いたり、他の武家屋敷を見たりしているといつしか時間が経って……もう何処にも寄らずに行かないと間に合わない。
更に道を間違えて……本当はナビに入れた場所が間違っていて……道が混んでいて……言い訳は沢山有って……兎にも角にも少しだけ遅れたのです。
メンバー四人が揃って……美味しい料理を頂いて……
あまりの気分のよさにビールを二杯だけ飲んで……顔を真っ赤にして……
話はあっちこっちに飛んで……楽しい時間はどんどん過ぎて行く。
お開きの後は少しだけ散歩。ほてった顔に夜風が心地よい。
昼間は観光客で賑わうだろうこのスポットも、今は人通りもほとんど無く、時たま地元の人が足早に過ぎていく。
四人そぞろ歩いて、ポツポツと話をつないで先ほどの余韻を楽しむ。
ふらつく体を欄干で、あるいは壁で支え、ISO感度を目一杯上げて手振れは勿論覚悟の上で何枚か撮る。
満ち足りて今日一日の終止符を打つ。
仕事ではないけれど特別な用事―時間つぶし [中国/四国]
待ち合わせ時間はずっと先だ。
「山の方は雪が残っているかもしれません。気をつけてください。」
レンタカー屋さんの言葉を背中に聞いてアクセルオン。
陽光に光る田畑が、まるで信州をドライブしているようで気持ちがいい。
用事だけではもったいないので、いつものようにフラフラブラブラ。
いい気になって時間に遅れないようにしないと……。
日本一高い所にある備中松山城。
「高いところ」と聞くと登らない訳にはいかない。
山屋の性なのか単なる馬鹿なのか、ともかく山道を歩き出した。
急な坂道に雪が残って下りは滑りそうだなと思っていると、ゾロゾロと爺様婆様が降りてくる。
中高年パワーは健在だなぁ……と感心している私も彼らと同じ中高年……。
さて天守閣にも登ったし、待ち合わせの場所に移動しよう。
仕事ではないけれど特別な用事 [中国/四国]
東京に積雪があった数日後、朝の便に乗るために羽田にいた。
途中で見えた工場の煙は、たなびくことなく真っ直ぐに青空に昇っていた。
この分だと大して揺れる事もなく目的地に着けるだろう。
右窓際のシートに座って離陸の時を待った。
離陸してすぐ……
北アルプスは遠く白い屏風となって安曇野の向こうに立ちはだかり、更にその先の水平線は日本海……。
ほぼ真下に見える南アルプスは近く、それぞれの名前を呼ぶ事が出来る。
北岳から聖岳まで歩いたのは遠い昔の事、甲斐駒ヶ岳は強風に四苦八苦しながら、仙丈ヶ岳は梅雨明けの紺碧の空の下、登り残している農鳥岳へは何時立てるだろうか……。
想いををめぐらしていると、はや琵琶湖を過ぎ、中国山脈に一際目立つ伯耆大山が見えてきて、飛行機はもう着陸体制。
アッという間の一時間半、読もうと思って出してあった本はそのままカバンの中へUターン。