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空木岳 [中央アルプス]


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☆えらく長い登りだった。

池山林道に乗り入れた途端「工事中・通行止め」の看板……今更戻ってスキー場の駐車場に停めるなんて真っ平御免……行けるところまで行こう……前方をユンボが行く……道を譲ってくれたと言う事は、行けると言うことだと早合点……もう少しで終点の駐車スペースと言うところであえなく通行止め……立て看板に「500m戻った所に登山口有り」……隅っこのやっと1台分残ってたスペースに車を突っ込んで……500m戻った所はどうやら地図上のプロット1215m地点……林道終点が1365m程なので150mも余計に登らなくっちゃ……で、フーフーいいながら登り切るとそこにはだだっ広い広場に強烈な照り返し……萎えた。


☆森林限界が高い。

強烈な日差しが遮られのは嬉しいのだが、風も遮られるので体温が上がると辛い……文句を言っても仕方がないので、飴を舐めて水をガブ飲みして……1歩づつ足を出せばいずれは着くはずだと言い聞かせて……下だけを見て歩く……避難小屋手前で視界がひらけて辺りは気持ちのいいお花畑……小屋の扉開いて「綺麗だからここに泊まろうか」などと一瞬思ったが、シュラフ持っていないので諦めて歩き出し……チングルマやイワカガミの花々や全く透明な水やほんの少しだけ残った雪渓などに励まされて駒峰ヒュッテにたどり着いた。
小屋番さん奥から出てこないので宿帳記入後、2階に自分たちのスペースを勝手に確保し頂上向かった。
空木岳2864m・標高差1649m・自分の影も道標の影のいい加減長くなった頃に頂上着……今までの苦労は何処へやら……名前の素敵なとっても良い山です。





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☆夕日

テラスで今日の一日を見送るみんなの顔が茜色に染まる。
ドーム型の宝剣岳、大きな山容の三ノ沢岳、うっすらと雲を纏った主峰木曽駒ケ岳、夕陽の方向には御嶽が赤い空の下にシルエットとなって見えていた。
グラスを片手に登場した小屋番さんの顔が赤かったのは、夕焼けのせいだけではないけどね。




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☆日の出

急に小屋が騒々しくなり皆んなの起き出す気配がした。
日の出の時間だ。
起きるかどうか迷っているうちに歓声が聞こえてきて、たまらず「えいっ」と起きて外に出たが、すでに太陽は雲の上に昇っていた。
しばらくカメラを構えていたが、薄いインナーダウンとスネ丸出しの7分ズボンという出で立ちでは寒さに耐えられず早々に退散した。

朝飯のインスタントラーメン作ろう、ネギをぶち込んで。




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☆下山

晴れわたった空の下、宝剣岳に続く稜線が「おいでおいで」と呼んでいた。
思えば2年前の9月に宝剣岳〜空木岳〜南駒ヶ岳と縦走する予定でこの稜線に上がったのだが、足を痛めて断念した経緯がある。
千畳敷でのロープウェイの時間には十分間に合いそうだし、行動食も手持ちのパンと小屋でカップ麺と水を調達すれば燃料もだいぶ残っているので問題ないが……う〜ん、迷う!……迷ったが行かずに後悔するより、計画を変更して思わぬ事態が起こった時にする後悔の方がかなり大きいはずだと、また改めて計画することにした。
さて小屋番さんに「以前に八ヶ岳で会った女小屋番さん(彼のお姉さんらしい)にヨロシク」と挨拶して歩き出した。
気持ちの良い稜線も避難小屋の分岐までで、後はうんざりする程長い樹林帯に入るかと思うと気が重くなるはずだったが、小屋で一緒だった人たちと後になり先になりしたり、時には言葉を交わしながら歩いているといつの間にか林道にでた。
もうこのコースは歩かないと思っていたが、車に乗り込む時にはもう一度歩いてもいいかなぁと思えてくるから山登りは不思議なものだ。




☆ブログを書きながら

昔読んだ山の随筆に
「…………歩きすぎると損をしたと思う不思議な登山者が現れる。向こう側から登ればもっと上までバスがあったのにと口惜しがる人も現れる。」という一文があったのを思い出して……「これはズバリ今回の俺のことだ」と可笑しくなった。







2017年7月 空木岳














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木曽駒ケ岳 [中央アルプス]

16s_DSC5192.jpg       宝剣岳へ

16s_DSC5220.jpg   木曽駒ケ岳頂上

珍しいこともあるものだ。

「宝剣を経由して行かない?」

相棒の口からこんな言葉が出てくるなんて……どうしたの?

……………… 

十数年前、ロープウェイで気楽に行ける木曽駒に行こうという事になって、どうせ行くなら宝剣を通って行こう と話しがまとまった。

だが、何処でどう調べてきたのか「危険なコース」だとか、「滑落事故もあった」とか言い出して、「普通に木曽駒ピストンで良い」と言い出してしまった。

なんとかなだめて宝剣を登ったのだが、だいぶ怖かったらしい。

そんなわけで「宝剣を経由して……」にはちょっと驚いた。

……………… 

山で計画を変更するのはあまり好きではないのだが、ロープウェイを下りるとそこには大人数のパーティ(かなり高年齢の)が……彼らと一緒に歩くのは(自分たちも負けないくらい高年齢なのだが)煩わしい気がして、自然に足は左の方に向かってしまった。

ヨシッ、宝剣から行こう。 

………………

南陵の所々に現れる高度感を楽しみながら着いた極々狭い頂上で少し写真を撮ったのち、北陵を下ろうとしたら行く手から学生さんの一団が 現れて、すれ違いに20分もかかってしまった。

先頭の人ビビってるんだけど、この先のほうが高度感あるのに大丈夫かなぁ~、下りだとなおさらだし。

気を付けて行ってね。 

………………

駒の頂上にはあの大人数のパーティがいて「なんで神社が二つあるんだろう?」と盛んに訝しがっていたので……「たぶん木曽の神社と伊那の神社です 、間違っているかもしれないので帰ったら調べてください」……と言っておいた……本当の所は???

今回は昼飯らしき物を持ってこなかったので、オニオンスープと紅茶とクッキーですきっ腹をごまかしてさっさと下山にかかった。

途中で外人3人組とすれ違ったので、いつものようにちっちゃな国際交流……イングランド2人とアイルランドの3人……特に内容なんかないんだけど「楽しんでね!」なんて言ってわかれた。

最近山道で外国の人と会うことが多くなったと思う。

………………

「ところで宝剣の感想は?」

「楽しかった!」

「そうだね、大キレットも2度行ったしジャンダルムも行ったしね。でも、変にビビるのもよくないけど調子に乗るのもね……」

嗚呼!腹減った……昼飯抜きだもんなぁ~~~!

 

 

 

2016年 9月 木曽駒ケ岳 

 

 

 

 

 


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せっかくの夏休みが…… [中央アルプス]

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☆稜線

今日行く山々が雲の上に顔を出している。

そこへ向けて1本の稜線が伸びる。

天気良好、視界良好、風は適度に有って心地好い。

このまま気分よく空木岳を目指すはずだったのだが……

 

☆石

そこは何と言う事もない緩い下りだった。

地面に小さな丸い石が……不用意にもそこに足を……小石のベアリングがコロコロと……転倒すれば自分がゴロゴロと斜面を……それだけは回避出来たが……膝がググッとひねられるように力が……「イテッ」……

「大丈夫?」 「大丈夫、5分もすればOK」

だいたいこう云う場合は3〜5分もすれば痛みも薄らいで、その後は何事もなかった様にあ歩けるはず……なのだが……。

 

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☆どこで怪我をするか良いのか……良い訳ないけど

痛みは少し和らいで……一休みの後濁沢大峰へと登り出した……が、大峰頂上直下で右足を踏ん張る事が出来なくなって……

「ダメだ、引き返そう」

「そうだね、今回は縁がなかったんだよね」

縦走を始めて間もない所での怪我……もう少し先まで行っていれば、引き返すんもしんどくなる……そう云う意味では良かったのかも……悔しいけど。

 

☆荷物の重さは?

「ザックを交換しよう」 「大丈夫だよこのくらい」

「貴方が良くても私はダメ。荷物は背負えても歩けなくなった人は背負えないから」

私のザックは12〜13Kgくらいで相棒のは10Kgくらいか……その差2〜3Kgなんてたいした事はないと思うけど……相棒やおら二つのザックの口をあけ自分の荷物を私のザックに入れ出して……

「オイオイ、そりゃぁやり過ぎじゃないかい」

「昔取った杵柄、心配しないで」

杵柄と言ったて40年以上も前の事で、すでに杵柄の「キ」の字も残っているとは思えないけど……

6食分の食料2人分+非常食、ストーブ+ガス缶2個+コッヘル等、防寒着+着替え2人分、水1L(一人分捨てた)+アクエリアスチューブ2個……その他総勢22Kg以上

私は空のペットボトル3個+カメラ(これだけは自分で)……無いも同然。

「自分のペースで先に行って」

「はい、ではヨロシク」……ギクシャクギクシャク、トボトボトボトボ。

 

☆山は……

戻り道で後続のパーティとすれ違う。

その度に事情を説明し、そしてかけてもらう決まり文句……「山は逃げないから」……たしかにそうなんだけど、歳が逃げちゃうんだよねぇ〜〜〜私の場合。

中には「救助呼びましょうか」なんて言う人も……ヘリなんて冗談じゃない、意地でも自力で……。

島田娘までくればもう一息……そこにいた80歳の夫婦と長話……80歳に元気づけられてロープウェイの駅舎を目指す。

霧の中に駅舎が見えたとたん痛みが倍増ぉ〜〜〜うぅ〜〜〜。

朝6時前に歩き出し12時前に到着……往路1時間40分(休憩含む)復路4時間20分(休憩含む)合計6時間の山行終了……あぁ〜あ!

 

☆いつもの整形外科

12時15分のロープウェイで下山、そのまま病院直行。

「あれ、今日は薬?」

「いえ、診察お願いします」

「肉離れ?治ったのでは?」

「違う所をやっちゃいまして」

「山?先生はまだダメって言ってなかったけ」

「ダメとは言っていなかったような……」

渋い顔の先生……

「またやったのぉ〜。何処に行ったの? 中央アルプス? 軽いハイキングぐらいから始めてって言わなかったけ? 気をつけなっきゃ(歳なんだから)。 骨は大丈夫だね。 1週間くらいで痛みが和らがない時は来てね、関節の中も調べるから。 多分大丈夫だと思うけど。」

「スイマセン」……謝っている訳がわからないけど。

診断名:右膝外側側副靭帯損傷 全治???

 

 

2015年9月 中央アルプス

 

 

 


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遅い夏休み [中央アルプス]

☆やっと……

ではなく、意図的に遅い夏休み5日間。

右足の肉離れも完治(と自分では思っている)して、天気予報もまずまず良好の様でワクワク気分。

朝一番に病院で薬をもらって、準備万端いざ出発。

今日は車とバスとロープウェイで千畳敷カールまで移動するだけでラクチン。

風呂に入って夕食食べて、明日に備えて早々に布団に潜り込む。

夜中に星空を確認……よしよし。

 

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☆夜明け

起きてまず外の様子を……少し雲があるかな。

昨夜もらっておいた弁当を食べ、パッキングを確認……モタモタしてたらもう6時前……ボチボチ出かけますか。

最初の登りは何時でもキツイ……ナナカマドの赤い実を見ながら登れば、太陽が雲海の上に……「出るぞぉ〜〜〜」なんて言いながらカメラ出す(太陽に負けて空の色すっ飛んじゃった)

雲海上に並んだ南の3000mの連なりの左手にチョコッと顔を出したと思ったら、パァ〜〜っとあたりが明るくなって、イヤァ〜気持ち良いぃ〜〜〜!

 

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☆極楽平

宝剣見ながら坂道登ればホッと一息、ここは極楽平。

目の前にドォ〜ンと三沢岳が朝日を浴びて鎮座して、遠くに見えるは御岳か……何時かは行かずばなるまい三沢。

目を東の方に転じれば……雲上に南アルプスと富士の高嶺、雲下に駒ヶ根の町並みうっすらと……コリャまた気持ちがいいぃ〜〜〜 

さてさて今日の道のりは長い……そろそろ南に向かって稜線散歩といきますか。


2015年9月 中央アルプス

 

 

 


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