屋久島―鹿の沢小屋

「小屋が見えたよ～」

この声で８時間余りのトレックは終了となった。

小屋は年季が入った石造りで、いかにも避難小屋らしいこじんまりしたいでたちが好ましかった。

通路は土間で両側はそれぞれ二段の板の間、中ほどには囲炉裏あって、燃えさしが残っていた。

備え付けの箒で軽く掃除をして、左の下段を今夜の寝場所ときめた。

それから外の板敷きに陣取って、紅茶を沸かし、しばらく日向ぼっこした。

昨夜、本を片手に寝てしまった。

夕食まで残りを読んでしまおうとザックから取り出したが、数ページも読まないうちに靴音がして、青年が「こんにちはー」と現れた。

板敷き一杯に広げていたシュラフやら食料やらを慌てて片付け、彼の場所を作った。

「たぶん、もう２人来ると思います、途中で抜かしてきましたから」。

どうやら今夜のお客さんは５人のようだ。

物音で目が覚めた。

携帯を見るとちょうど０時だった。

カサカサとポテトチップの袋をいたずらしているような音が、向かいの２人パーティの方でしていた。

夜空の写真を撮ろうかと一瞬思ったが、眠気のほうに軍配が上がった。

「ネズミ君、今は君たちの時間だから私は寝ます。なるべくこっちには来ないでね。」

 

（下の写真は、寝る前７時半ごろ撮ったものです。右半分はヘッドライトの光で真っ白だったので切りました）

タグ：鹿の沢小屋 モノクロ写真

コメント 9

子供のころ、ゴキブリに指を噛まれて目を覚ましたことを思いだしました　＾＾；
すみません…。
石造りの小屋なんですね～。
by よしころん (2010-05-27 12:17) 

石造りの小屋雰囲気あっていいですね。　鼠くんは、この手の避難小屋には住み着いているようです。（以前、白山南部の三ノ峰避難小屋で遭いました　笑）

by おど (2010-05-27 20:16) 

雰囲気があっていい場所ですね。
こういう所でゆっくりしたいものです＾＾
by Lupin (2010-05-27 20:28) 

小屋泊まりやテント泊でのんびりするのはいいですね。
山でウイスキーでも飲みながら、ボーっとしてみたいものです。
by KOMKOM (2010-05-27 22:26) 

こういうところだと、時間がゆっくりと流れるのでしょうか。
それとも時計は止まったり動いたりかな・・・。
いい感じの小屋のようですがネズミは嫌です。(>_<)

by nousagi (2010-05-27 22:56) 

うーん、小屋で休んで読書とは・・・
なんとも贅沢な時間ですなぁ(^-^)

眠気には勝てませんか？
星の写真も見たかったです♪
by werewolf (2010-05-27 23:27) 

わたしもときどき山のテントに本を持ち込みますが、まともに読めたことがありません。
by asa (2010-05-28 07:24) 

8時間ですか...
素人目にはとても長いように感じます。
屋久島の情景、なんともいえませんね。
by ayasolo (2010-05-28 13:21) 

to よしころん さん
ゴキブリに指を……
ウーム、貴重な体験かも。
ここのネズ君はたぶん大丈夫だと思いますヨ。

to おど さん
おどさんも出会いましたか。
たぶん都会のドブネズミとは違う種類かも。
ひょっとすると先住動物かも。

to Lupin さん
小さな広場のようなところで、周りに石楠花がありました。
まだつぼみでした。
静かでのんびり出来ますよ。

to KOMKOM さん
ウイスキーですか。
スキーはやるんですが、そちらのほうは……下戸なもので。
その為いつも紅茶です。（お酒、飲めたらいいのになぁ）

to housagi さん
のんびり、ゆっくりですネ。
ネズ君は食べ物を失敬する以外は悪さはしないようですよ。
ザックにパッキングしていればOKだと思います。

to werewolf さん
いつも１冊は持ってゆきます。
あまり面白いのはなるべく避けて、眠くなるようなのを……。
今回は起きられませんでした。
機会があれば挑戦したいと思います。

to asa さん
asaさんも持ちこむのですね。
シュッラフにくるまってヘッドライトで読んでいると、なんだか優雅な気分になって好きなのです。
読める時とそうでない時とありますけど。

to ayasolo さん
そうですネ、爺としましてはこのあたりが限界かと……。
あまりがんばると翌日にひびきます。
屋久島は海も森も水も山もいいですヨ～。
by 山子路爺 (2010-05-28 15:47)