春の銀座をプチ縦走―常念小屋から下山 [北アルプス]
五時ごろ、雪のトンネルを通って外に出た。
パラパラと小さな粒がジャケットの肩を叩いた。
安曇野のほうは雲が多いながらも明るさがあったが、西のほうには黒っぽい雲が見えるだけで槍ヶ岳や穂高岳の姿を見ることは出来なかった。
常念岳を仰ぎ見ると、こちらも頂上辺りに雲がかかっていた。
昨夜貼った湿布の効き具合はどうか、朝食の頃には雨は上がるのかどうか。
それによって頂上往復の約2時間を加えるかどうかを決めよう。
見送ってくれる小屋番に、有り難うを言って小雨の中に飛び出した。
これ以上痛みが出ないようにとガチガチにテーピングをした足が少しぎこちない。
常念岳への未練を残しつつ一の沢を下った。
しばらくすると雨は上がったが、青空を望むのは無理のようだった。
波打つデブリに立って常念岳を振り返った。
梓川SAから見えるあの端正なピラミッドの、その両辺が交わった頂上に立てなかった心残りが、だんだん大きくなった。
B君が「来春は蝶ヶ岳まで縦走して上高地に下りようか」と言っている。
それも良いなと思いつつ、「春の表銀座を槍へ」の言葉を飲み込んだ。
何故なら、それは私には少し荷が重いに違いない。
私達は、常念小屋で手に入れたパンを一つずつかじってテルモスのお湯を飲んだ。
そしてここでアイゼンを外した。
2012年5月常念乗越から一の沢を下って
2012-06-06 23:00
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コメント(16)
やまころさま。
おはようございます。「うぉ~」と朝から感動しております。
二枚目絵になる男ですね。
常念、安曇野から見上げるととんがりコーン!「登ってみたいなあ~」と、眺めておりました。この雪道は私にはとても・・
by はるか (2012-06-07 09:43)
常念岳の山頂に立つのは断念されたんですね。
でも、下山してきて、アイゼンを外して振り返る
この景色、充実感でいっぱいでしょう。
by nousagi (2012-06-07 09:59)
空に近い場所で時を過ごす・・・
連休がなく、冬の雲取以来できておりません。
山からの夜明けが見たいなぁ。
by よしころん (2012-06-07 10:08)
残雪の常念もいいですね。 雪のトンネルもいい。 いい絵を見せてもらいました。 でも、あの胸突き八丁を登るのはキツイ!
蝶ヶ岳ならなんとか行けそうですが、日帰りは無理かな (笑)
今の季節、北アルプスは私には敷居が高い。。。。
でもそろそろ、焼岳あたりからと 構想、妄想が広がります。
by Jetstream777 (2012-06-07 10:18)
スケールの大きさを感じる写真・・・・
良いですね〜〜♪^^
by hatumi30331 (2012-06-07 15:04)
体調や天気と相談して・・・
判断が難しい時も多いのでしょうね。
by werewolf (2012-06-07 21:45)
最終日は生憎の天気でしたね。 天気が良ければ、常念岳からの素晴らしい展望が見られたのでしょうが、来年にお預けですか。
このコースは好きなので、また行ってみようかなぁ。
by おど (2012-06-07 22:05)
あいにくのお天気でしたが、白黒写真には物語りがありますね。
by 駅員3 (2012-06-08 12:48)
今実はipadで打っているのですが、ipadで見ると爺様の写真が更にきれいに見えます。ちなみにメイン機は、エアコンつけないと熱暴走します。
by スナフキンの子 (2012-06-08 13:03)
僕が今勉強しようと思っていることにテーピングが
あります。なにかと助けられそうなので。覚えることが
たくさんあるなぁ。
by ken_trekking (2012-06-08 20:41)
雪のトンネルが未知の世界を物語っています。
この時期の北アの稜線、魅力的ですね~ ^^
by 元山陽ちとせ (2012-06-09 09:08)
To はるか さん
彼は日の出の写真を狙っていたようですが、残念ながら太陽は雲の中に。
安曇野から見る常念はとても形がいいですよね。今から思えば少し無理すればよかったかと……又トライしたいです。
To nousagi さん
実は今回、燕岳も登っていないのです。
逆キセル登山でした。この時期、お天気さえ良ければ素晴らしい山行が出来ますので、来年も、なんて思っています。
To よしころん さん
爺さんは無理やり休みを……GWは休まず仕事でしたので、その代休……4日間では少ないのですが。何とか年間3回ほどは山に、と思っていますが。
To Jetstream777 さん
こちらは何時も妄想でイッパイです。
蝶ヶ岳の日帰りねぇ……私も考えてみようっと。焼岳も登っていないのでこちらも。
To hatumi30331 sann
広い常念乗越、そこから仰ぎ見ると常念岳が壁のように立ちはだかっています。
テッペンに立ちたかったのですがねぇ。
To werewolf さん
実は靴を履いた時点では「登る」ことにしていたのですが、外に出ると雨が……、
それで止めました。春の常念岳はまたのお楽しみと云う事です。
To おど さん
今年の春は天気が不安定でしたね。そんな中で2日目の稜線では最高の天気に恵まれましたので、文句は言えません。裏銀座や槍穂高を眺めながらの山歩き……いいですよねぇ。
私もまた行きたいです。
To 駅員3 さん
ちゃんとモノクロを意識して撮ればいいのですが、こちらの方がカッコイイかなてな程度で、だいぶいい加減です。駅員さんも時々モノクロの写真をUPされていますが、いつもOh!いいな、と思いながら関心しきりです。
To スナフキンの子 さん
ipad……当然爺は持っていません。きれいに……買わなくちゃと思っても小遣いUPは無理。熱暴走……火事にならないの?
To ken_trekking さん
私のテーピングはかなりいい加減。それでも下りの痛みは和らぐと思っていますが、気のせいかな。キッチリやれると利用価値は高いかも。でも自分で自分にやるのは難しいですね。
To 元山陽ちとせ さん
連休前に小屋を掘り出すのは大変だなぁって思いました。トンネルくぐって小屋に入るのは、チョット良い感じでしたよ。
風のない晴れた春、最高でした。
by 山子路爺 (2012-06-09 14:32)
常念、行ったことがありません。
燕~餓鬼はあるんですけど。
一度は行ってみたいんだけどな。
やはり春山は厳しそうですね。
by 哲 (2012-06-09 17:47)
to 哲 さん
逆に私は餓鬼岳は行っていません。
餓鬼の小屋に泊まりたいと思っているんですがね。
なかなか思うようにはいきません。
by 山子路爺 (2012-06-09 21:39)
二枚目の写真、色々とイメージが湧いて来ました。
by みなみ (2012-06-11 17:42)
to みなみ さん
諦めきれずに東の空に目をやっていましたが、上空雲が厚く太陽は見えませんでした。ポツリポツリと雨粒が落ちてくる状況では無理からぬことで、写真に写っている男性ともども小屋に引き上げました。いつも上天気とはいきませんよね。
by 山子路爺 (2012-06-12 13:06)