蔵王 [東北]
唐松岳の翌週、白石蔵王で新幹線を降りた。
故郷の山蔵王は、何事も無かった様に残雪を載せて堂々とあった。
ブルーシートで屋根を覆った家が方々にあったけれど、倒壊した形跡は無かった。
久しぶりに会った叔母は「この辺りは、よそと比べたらよっぽどいいのっしゃ」と話してくれた。
従兄弟たちの家の被害もたいした事は無く、田植えもすでに終了していた。
ただ職場の再開のめどが不透明と不安の様子だった。
水を張った美しい田圃に混じって、草ボーボーの田圃が所々に見られた。
帰りぎわ叔父が手招きして耳元で囁いた、「米は作れば作るほど赤字だぁ。なんとかすたいけど、どにもなんねのっしゃ。」
何故だ、本当か、と疑問を抱いたまま帰りの新幹線に乗った。
私は、故郷の山に未だ登っていない。
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