近くの丘へ [上信越]
用事が済んで少し時間が空いた。
さすがにこの時間から志賀高原に上がるわけにもいかず、昼の終わりを見に近くの丘に登った。
何度も訪れている町だが、どの辺りに陽が沈むのかなど気にした事もなかった。
町の東側にお寺に続く長い階段があり、その先は600mほどの山頂に道が続いているらしい。
あまり雪が深くなったら引き返す事にして階段を登りはじめた。
陽は沈みだすと早い。
階段の雪に足をとられながら……気ばかり焦って……やっと寺の本堂まで登ってきた。
振り返ると大分低い位置に夕日がある。
もっと見晴らしの良いところを探して、更に登る。
陽はどんどん沈んで遠くの山の向こうへ……。
今、残照に浮かぶ双耳峰はもしかすると鹿島槍岳か、ならば右の盛り上がりは五龍岳か。
さらにその右手前に大きく飯縄山があるので、そうかもしれない。そうでないかもしれない。
あれが後立山の盟主鹿島槍ヶ岳なら、今日一日のご褒美をいただいた様で、息を切らしてお日様と競争した甲斐があったというものだ。
これがぬか喜びでないと良いのだが……。
道は暗くなった森の中へと消えていて、雪は深くないが靴の甲を隠す程になった。
いつか上まで登ってみようと思いながら、町へと帰った。
志賀高原プリンスホテル西館―最後の一本 [上信越]
やっと大きな晴れ間が現れた、それも帰る頃になって。
テレビからは大雪のニュースが流れていたが、ここでは吹雪くというほどでもなかった。
それでも太陽が顔を出す時間は短く、空はやや濃いグレーで頻繁に雪が舞い降りてきた。
雪面は影がなくフラット見えてギャップが分からず、下手な私には少し厄介だった。
もう少しでゴンドラが止まる。
もう一本滑ったら山を下りとしよう。
志賀高原プリンスホテル西館―空模様 [上信越]
少し見えた青空を追いかけて、暗い雪雲がせまって来る。
雪の中をやっと滑り降りてくると、ぽっかり空が見えている。
ゴンドラで頂上に着くと、そこにはまたサラサラと粉雪が舞っている。
ほんに今日は猫の目天気。
吹き溜まりに突っ込んで雪だるまになる前に、ギャップで飛ばされてカメラを壊してしまう前に、
でっかい露天風呂に入って、コーヒー飲んで、持ってきた本のページをめくるとしようかな。
志賀高原プリンスホテル西館―旗門 [上信越]
スタート地点に『ご自由にどうぞ』とあった。
年寄りの冷や水といわれそうだが、ポール際の雪が深くえぐれる前にちょっとチャレンジ。
誰も見ていない事を確認してスタート。
滑り出せば、もう気分はアルペン選手。
ゴールにたどり着けば、淡いかすかな達成感。
志賀高原プリンスホテル西館―待ち人来たらず [上信越]
今年も戻ってきました。
先月の初め、次男から嬉しい電話が。
「暮れに休みが取れたので、そっちに行くよ」 「OK、首を長くして待ってるよ」
ルンルン。
………………
先月半ばすぎ、
「29日仕事……午後11時ごろ東京着」 「OK、宿を取ったから山へ直行ね」
少し不安……。
………………
そして29日午前
「急に仕事が入って行けなくなった、ゴメン」 「そう。残念ね。体に気をつけてね」
シュン……。
………………
思えば、働きたくても仕事が無いという人もいる中、働けるだけ良いというもんだ。
気を取り直して年寄りだけで行くとしよう。
あっ!一部屋キャンセル入れなくっちゃ。
御挨拶 [上信越]
爺さんに成り代わって、新年明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。
えっ、今年の干支は僕じゃないって……まあ、堅いことは言いなさんなって。
爺さんが雪の上の足跡をたどって ウサギを探してみたんだが、まあ爺さんに見つかるような間抜けな奴もいませんよ。
そこで、近くにいた僕に出番がまわってきたんですよ。
さて、今日は生憎の雪模様で寒さもひとしお、こんな時はやっぱりお風呂に限りますね。
野天の湯に浸かって降り積もる雪を眺めるなんて、粋でしょう。
こうやっていると、時の経つのも忘れてしまいそう。
さて、のぼせる前にそろそろ上がるとしましょうかね。
そうそう、ついでと言っちゃ何ですが、僕の仲間も見て下さいね。
「誰か美味しい物 くれないかなぁ」
「無理無理、食べ物をやるなってキビシ~ク言われているんだから」
「フゥ~~!」