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唐松岳―出会った人と今日の主役 [北アルプス]

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☆小屋の支配人

「中川さんコンチワァ~。いつもお世話になってますぅ~」

「どうもどうも」

「今日は下界ですか?」

「いやいや、これから良い子をお迎えに」

「あっ、学校登山ですね」

会えばいかにも知り合いの様に気安く声をかけてしまうけれど、中川さんは私たちの事など知らない訳で、でもいつもそのニコニコ顔に出会ったら声をかけずにいられないのです。

晴れマークが並んだ今日の予報、きっとあの絶景が良い子達を待っている事でしょう。

そして彼らはきっと「コレ、ヤバくナイ」と口々に言う事でしょう。

 

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☆福井の好青年

八方池から少し登ると、後に赤シャツの青年が……「お先にどうぞ」と道を譲る。

しばらく歩いて休憩している彼を追い抜いて、それから抜いたり抜かれたりで扇の雪渓……その後はなんだか3人パーティの様に、青年ー相棒ー私の順で唐松岳の頂上へ。

雪渓で「おおぉ〜!」 丸山で振り返って「おおぉ〜!」 稜線で剱岳のお出迎えに「おおぉ〜!」 頂上の360°の展望に「おおぉ〜」 すべてに感動する純な彼……その服装や歩き方からから山のベテランだと思っていたら「地元の低い山はいろいろ登っているのですが、北アルプスは初めてなんです。映像や写真でしか見た事がなかった光景が、今目の前に……」 ムム、ヤマヤが一人誕生だ。

競技スキーヤーだったお父さんに連れられてスキーに山歩きに……その分ディズニーランドには1回しかしけなかった少年時代、どうしてだろう友達は何度も行っているのにといつも疑問符だらけだった……なんだか我が家に(キャンプやスキーには連れて行ったが、ディズニーランドは1度か2度)似ていて……そのお父さんは大井町のニコンでカメラを作っていたとの事で、もしかすると私のF2やF3を手がけたのかもしれないなどと思うと更に親近感が増して来て、扇の雪渓〜唐松岳頂上〜扇の雪渓と、あれやこれやとお喋りしながら歩いた。

年寄りの足に合わせて歩いてくれた彼、自然の美しさに素直に感動する彼、優しさと純粋さに触れる事が出来て、とても嬉しかった。

また北アルプスの何処かで会えたらいいなぁ。 

 

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☆主役

小屋前のベンチに陣取って、ある人はラーメン、ある人はビール、またある人はチーズケーキにコーヒー……様々なアイテムを手に取って美しき主役に眺め入る。

私たちは、キンキンに冷えた300円の水……これがなんとも美味い。

「今日はいい天気で良かったね」「日頃の行いが良いからね」「雨男返上!」などと言いながらごくりごくり……嗚呼美味い。

出来る事なら小屋に泊まって、剱岳に沈む夕日を、朝日に染まる剱岳を、眺める事が出来ればなお素晴らしいのだが……。

叶わぬ事を望んでも詮無い事で、一服したら潔く下山するとしよう。

名残のシャッター1枚切って即席3人パーティはきびすを返して八方尾根を下った。 

 

 

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終日晴れの予報が見事に当たった梅雨明け直後の八方尾根

日焼け止めクリームが役に立たないくらいの強烈日差の八方尾根

いつもの様に学校登山に出会った八方尾根

図らずも好青年と一緒に登る事が出来た八方尾根

来る度に新しい喜びを与えてくれる八方尾根

嗚呼、山は良いものだなぁ〜。

 

2015年7月 唐松岳

 

 

 

 

 


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唐松岳―思い立って [北アルプス]

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梅雨あけて

天気予報は終日晴れ

日帰り出来る涼しい所

燕にしようか唐松にしよか

無理せずリフトに乗りましょう

仕事終わって一風呂浴びて

今夜は黒菱平で車中泊

途中で睡魔が襲い来て

道の駅白馬で泊まります

やっと空いてたスペース見つけ

そうっとそうと車を停めて

布団をしいたらおやすみなさい

 

 

2012年7月 唐松岳

 


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槍ヶ岳―下山 [北アルプス]

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もう一つの楽しみ……

雪渓が急になってもアイゼンは着けず、そのかわりお尻の滑りを良くする為にカッパのズボンをはき、準備完了。

本当は昔取った杵柄で華麗なグリセードを披露したかったのだが、今のピッケルは短すぎて、膝を深く曲げないといけないようで、それでは腿やふくらはぎがプルプルしてしまいそうで、年寄りには無理と断念せざるを得なかった。

M君の「いきましょう」の声に続いて「キャッホー」と滑り出し、登ってくる人の羨望の眼差しを受けながらどんどんどんどん……気持ち良いぃ〜〜〜!

その時の写真?……もちろん有りません。

いつもは胸前に保持しているカメラはザックの中……「アッ、写真」と思って携帯をポケットから出した時には、仲間はずっと下まで滑って行って、すでに米粒状に……。

登りは何時間もヒーヒー言いながら喘いだ斜面に、年甲斐もなくキャッキャとはしゃいだ楽しい時間はあっという間に終わりを告げ、ババ平が近づけば雪は消え、後はいつもの様に槍沢ロッジ〜横尾〜徳沢〜明神〜上高地の退屈な4時間を残すだけとなった。

 

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横尾でラーメンを食べ終わると……パラパラと雨……カッパ着て

徳沢の手前で雨が止んで……カッパ脱いで、ソフトクリームを食べて歩き出すと……また雨がパラパラ……カッパ着て

すぐに雨上がって明神でカッパ脱いで……小梨平手前で……三たび雨そして雷……面倒なのでそのまま急ぎ足でバスターミナルに駆け込むと、私たちの後を追って来た雨がザァ〜〜〜っと本降り。

ふぅ〜、ついてる。

「やっぱり晴れ女と晴れ男……で誰かさんは雨男だね」

「いやいや、雨男返上を槍ヶ岳の祠にお願いして来たので、次回はピーカンかもよ」

「それでは次回のお楽しみはピーカンと言う事で……お疲れ様でしたぁ〜」

窓を叩き付ける雨のなか、バスは沢渡に向けてゆっくり走りだした。

予定の本谷ルートは変更したものの、梅雨の晴れ間に巡り会えて、6月の北アルプスを堪能した3日間だった。

嗚呼!本当に好い山だったなぁ〜。

 

 

2015年6月 槍ヶ岳 

 

 

雪渓を尻セードで滑り降りる際には、雪上にある石や岩、雪が凍っている部分、段差やクレパス等に十分気をつけて下さい。またスピードが出過ぎない様にピッケルやストックでコントロールして下さい。雪解けが進めば雪渓の厚みも薄くなり危険な所も増えて来ると思われますので、時と場所は呉々も慎重に選んで下さい。

 

 


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槍ヶ岳―尖った天辺で [北アルプス]

カーテンの隙間から朝の光が差し込んでいた。

雨は上がって雲間に青空がのぞいていた。

よしっ、行こう。急いで身支度を整えた。

 

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大喰岳から中岳の稜線が朝日に染まる。

遠くに前穂北尾根の美しいラインに目が止まる。

私には難しいだろうなぁ。 

 

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ここを登れば頂上だ。

見上げる空は青く私たちを歓迎しているかのようだ。

もう一息、冷えた梯子に手をかけた。

 

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太陽を隠す雲。

北鎌独標に日が射してくれれば最高なんだけど。

少し待ってみるとしよう。

 

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ふわりふわりと霧がやって来る。

だが私たちの視界を隠す程には高くならない。

霞む常念のピラミッドが美しい。

 

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あの時は祠の横から登って来た。

雨降る槍ヶ岳の頂きに人影はなかった。

「次の北鎌尾根登攀時には微笑んでくれよ」と願い、「槍ヶ岳」のプレートを持って記念写真におさまった。

 

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3人だけの頂上360度の展望

南に……南岳の先に北穂高岳、一番高く奥穂高岳、ジャンダルムはどれ?、左に前穂高岳と北尾根、右に離れて西穂高岳、乗鞍岳と御岳山は雲の中。

東に……太陽の真下あたりに大天井岳、そこから東大天井岳、横通岳と続いて常念岳の盛り上がり、一旦下がってなだらかな蝶ヶ岳。

西に……笠ヶ岳から稜線が延びて弓折岳、双六岳、三俣蓮華岳と並んだその奥に黒部五郎岳や薬師岳、かすかに見えるは立山か。

北に……鷲羽岳、水晶岳、野口五郎岳の裏銀座、ずっと右に燕岳からの表銀座、後立山の峰々は雲に阻まれて判然としない。

……

「裏銀座も行かなくちゃね」

「ブナ立て尾根もキツイよ」

「やっぱり水晶岳は往復しないといけないな」

……

「でもやっぱりもう一度北鎌尾根かな、晴れている日に」

「私はパス」

「ジャンダルムの時もそんな事言ってたのは誰だっけ」

……

会話が弾んで笑顔がこぼれて小一時間、さすがに体が冷えて来た。

「ボチボチ行こうか」っと下りの梯子に取り付いた。

 

 

 

 

2015年6月 槍ヶ岳

 

 

 


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槍ヶ岳―楽し苦し雪渓歩き [北アルプス]

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ババ平からほんのわずかで雪渓末端に……嬉し楽しの雪渓歩き……ひんやり空気に汗が飛ぶ……夏道まだまだ雪ノ下……赤布を追ってどんどんん登る

だんだん疲れて下見てばかり……アレッ、大曲過ぎちゃった……素人はこれだから困る……如何に道標を頼りに歩いていたか……地形と地図をもっと勉強しなさい!……ハイッ。

 

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急な槍沢ザクザク詰める……ジグザグせずに真っ直ぐ登る

涼しいのに汗はダクダク……気温上がって雪グズグズ……アイゼン効かずに時々ズルズル

槍はまだかと上見上げれば……アッ!見えてきた……でも、まだまだ遠いまだ遠い

小屋まで雪渓歩きと思いきや……殺生分岐で雪消える……後は夏道九十九折れ……嬉しガッカリ拍子抜け

 

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今日のお昼もカレーライス

誰かが冗談で「大盛り」って言ったら本当に超大盛りが……「食い切れねぇ〜〜〜」……必死で腹に収めて……「ゲップ」……しばらく動けず。

昼飯食ったら降られる前に穂先に上がろう……っと、梯子の手前で……

飛騨側から雲がもくもく……ゴロゴロ、遠くで雷鳴轟いて……しばらく止まって様子見て……またやゴロゴロ……昨日も午後に雷様が到来って小屋番が言ってたっけ……頂上は明日に回して急いで下る……小屋に入ったところでゴロゴロポツポツボツンボツン……う~ん、なんだか今回は天気運が良いようだ。

 

 

 

2015年6月 槍ヶ岳

 

 

 


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槍ヶ岳―槍沢ロッヂへ [北アルプス]

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☆沢渡ターミナル〜上高地

上高地行きのバスは出たばかり……タクシーにしようかどうしようかと迷う……相乗りする人いませんかぁ〜キョロキョロ……シーズンオフのウィークデー、ガランとしたターミナル、そこにお嬢さん二人連れ……

「上高地ですか?」 「いえ新島々です」

相乗り相手が見つからない……しかしバスを待つのも……迷ったあげくタクシーと決めて係りのオジサンに……オジサン無線と電話で手配中……するとバスの係員が来て「臨時出ます」そしてタクシーの係員「手配済みました、すぐ来ます」……ほぼ同時……何だよぉ〜、バスの人もう少し早く言ってくれよぉ~~~

少しばかり気落ちしてタクシーの座席にドッカリ……だが、運転手さんの話が面白い

「今日は何処だい?」    「槍です」

「おらも山に行くんだ」   「槍ですか穂高ですか」

「登山はしねぇんだよ……山菜よ」

それから山菜話や岩魚釣りの話で盛り上がり、最後に……

「◯◯◯◯って知ってるか?」 「はい、一度だけ食べた事があります。美味いすよねぇ」

「あれは山菜ではねぇんだ」  「えぇ〜〜〜???」

「あれは山野草でおおっぴらに採っちゃえげねぇんだ。………………ガハハハハハー……なんかあったら連絡して」っと名刺もらったけど、山菜採りや岩魚釣りに案内してくれるって事かな。

 

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☆上高地〜徳沢

予報通りに青空の上高地……べたな写真を一枚撮って……心無しか岳沢の雪が少ない感じ……足早に河童橋を通り過ぎて小梨平に……絵描きさんのテントはすでに設営済み……秋までここで暮らすのだろう……郵便も届くそうだ……おしゃべりしてみたいけど。

明神までスイス人のカップルと並走……彼らの持ち時間5時間……横尾までは無理だけど徳沢までは行けそうだが……「Myoujin pond & Myoujin shrine」を教えて「Have a nice day」「Yoo too」……彼らと別れて急ぎ足……ハラ減った、徳沢でカレーを食おう。

 

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☆徳沢〜槍沢ロッヂ

カレーで一息ついたらザックを背負い……いつもは「コンニチハァ〜」に忙しい道も、今日は横尾まで誰にも会わず、会うのは猿軍団ばかり(彼らの落とし物に注意!)……横尾の広場も工事の人以外に人影無し(工事は横尾山荘のトイレ拡張?)……二の俣橋がピカピカの鉄パオプ橋に……橋の鉄骨が曲がってしまい応急処置……もし治っていなかったら徒渉?……二の俣の水量多くて多分無理。

山道らしくなった道をエッチラオッチラ歩けば……ロッヂの水力発電小屋(小屋の電力の2割を賄うとか)……もすぐロッヂだ頑張ろう。

いつもは混雑する蚕棚も、今日の泊まりは5人だけ……割り当てられた部屋のどこを使ってもOK状態……荷物を全部ぶちまけてザック整理……の前にお風呂で汗ながそぉ。

火照った体で玄関出れば……あれぇ〜雨だぁ……午後崩れるっていう天気予報あたっちゃった……と云う事は明日は……。

 

 

 

2015年6月 槍ヶ岳


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槍ヶ岳―計画変更 [北アルプス]

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3年越しの懸案……横尾本谷経由槍ヶ岳……今年はやっとスケジュールを確保

問題は空模様……梅雨入り宣言もあって……毎日変化する天気予報に一喜一憂の1週間

決行前日の予報は……1日目:晴れのち曇り 2日目:雨 3日目:雨のち曇り 4日目(予備日):晴れ……予備日が一番の好天だなんて

雨の中、テント撤収し横尾本谷を詰めて稜線に出、さらに槍ヶ岳まで縦走はチョット辛い

作戦会議の結果、本谷は諦めて最もリスクの少ない槍沢を往復する事に……今年も本谷はお預けだ

それでは槍沢ロッヂまでブラリブラリ…… Let's go!

 

 

2015年6月 槍ヶ岳

 

 


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2泊3日の温泉旅行……のついでに [北アルプス]

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☆計画

久しぶりの休み、それもまるまる三日間……行かない手は無い。

楽に登れてなるべく高い所で出来れば雪がある所……乗鞍岳に行ってみよう……岐阜県側からは畳平までバスが入るらしいし。

前夜車中もしくはビジネスホテル泊→八ヶ岳周辺のどこか→平湯温泉泊→乗鞍岳→白骨温泉泊→帰宅……かな。

 

☆計画通りには……

何事も思い通りに行かないのが世の中で、その日の仕事が終わったのが午前2時、気力も失せてベットに倒れ込めば、何時の間にかお天道様は空高く、それでも今出かければ北横岳くらいは寄って行けそうだが、今日は平湯までのんびりドライブと言う事に計画変更して、瞼を閉じた。

ずく無しになってしまった。

 

☆下見

一風呂浴びる前に、早朝のバスにもたもたしない様に「ほうのき平」のバス停と駐車場を下見に出かける。

あやしい雲に覆われた空は暗く、今にも降りそうでシャツ一枚では少し寒い。

折しも畳平からのバスが到着し、下りて来たオジサンに上の様子を聞いてみた。

「濃いガスで何も見えなかった。畳平はあられが降ってとても寒かった。富士見岳しか行かなかったので剣が峰の様子は分からない。富士見の登山道に雪は無かったが、剣が峰方面はアイゼンが必要だとガイドが言っていた」など教えてもらった……ぶっきらぼうだったが。

アイゼンが必要とはなんとも嬉しいじゃないか……持ってきたものをザックに入れっぱなしなんて、ただのおもり以外何者でもないから。

 

☆夜空

夕食の頃には雨が降り出して少し嫌な感じがしたが、10時過ぎに露天風呂から見上げた空にはキラキラ星の大群があって、これなら明日の晴天は約束されたようなものだと顔がほころぶ。

先ほどの嫌な感じは吹き飛んで「さぁ〜寝るぞぉ〜〜〜」

 

☆バス

10人程の乗客を乗せてバスは急坂を登る。

この道が「一般車通行禁止」なる前年、偶然にここをドライブ……ドライブと言っても殆んど前に進まない程の大渋滞で、途中の広場に駐車して剣が峰へ登った。

帰りは疲れてしまい、車の所までなんと遠かった事。

 

☆スキーヤーとサイクリスト

肩の小屋からは……履かなくてもほとんど問題ないと思ったが、一歩踏み込む度に柔らかい雪に足を取られてズルッと……ただでさえ少ない体力を消耗するより潔くアイゼンを出そう。

右下に見える権現池の水がきれい!などと言いながら登り、頂上の鳥居を潜ってちっちゃな小屋を反時計回りに一周して下山にかかれば、今まさに滑り出そうとしているスキーヤー……「登りは地獄下りは天国」……と言ったかと思うと、あっという間に標高差300m程も滑走し、鈍間の私たちをあざ笑うかのようにこちらを見上げる……若い頃にもう少しスキーテクを……。

ものはついでと富士見岳を上り下りして畳平に帰り着けば、標高差500m以上も頑張った数人のサイクリスト達が自転車を寝かして一休み……こちらも登りはシンドイが下りは気持ち良いぃ〜だろうなぁ。

俺たちは登りもシンドイし、下りも結構……。

 

☆遅ればせながら今年の初山……雪も踏めたし、青空にも恵まれて言うことなしのスタートを……次回はどこに行こうかな。

 

 

 

2015年5月 乗鞍岳

 

 

 


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唐松岳 [北アルプス]

14sDSC_1652.jpg   (不帰ノ嶮のギザギザ)

14sDSC_1685.jpg   (一瞬だけ顔を出した剱岳)

14sDSC_1692.jpg   (昨日降った雪が水溜まりを作った)

14sDSC_1695.jpg   (下りは霧が立ち込めて)

 

麓から見上げた後立山連峰は、昨日降った雪で白く輝いていた。

切符売り場で「アイゼンはお持ちですか」と聞かれたが「雪を踏むようなら下山します」と答え、書いて来た登山届けをポストに入れゴンドラに乗り込んだ。

眼下に見える姫川は、台風一過の光を反射してキラキラとまぶしく輝いていた。

観光客に混じって緩い木道を八方池まで登れば、そこには不帰ノ嶮がそそり立ち、その岩肌に刻まれた急峻な沢やそこに残る古い雪が私の目を釘付けにした。

平らな石に腰を下ろして、宿で用意してもらった大きなおむすびとトマトとそしてブドウを食べた。

観光客を八方池に残してさらに登ると、そこにある扇の雪渓は夏の日差しに抵抗して小さくなりながらも消えずに、汚れた肌の上に昨日降った雪で薄化粧をしていた。

真っ白に化粧する頃に訪れたいが、それはなかなか難しい事だろうなと考えながら少し急になった道を歩いた。

丸山ケルンに達する頃には頭上の青空はごく小さいものとなって、後立の稜線は雲の中に沈んでしまった。

雪を踏めると期待して小屋前に出たが、日陰に僅かに残るだけで拍子抜けだった。

唐松岳の頂上でのこりのおむすびを頬張り、周りの霧がはれるのを待っていると、誰かが「剱岳だ」と叫んだ。

それは霧の中からほんの一瞬だけ、それも頭だけちょこんと出して、ここにいる十人程の人間に微笑みかけている様な気がした。

その後はいくら待っても霧に包まれたまま不帰ノ嶮も白馬三山も五竜岳も望む事は出来ず、寒さもしみて来て、そろそろ頂上から退散する時間が迫っていた。

小屋前のベンチでアルバイトのお嬢さんとおしゃべりしながら膝サポーターを着け、持って来たブドウを「もう下るだけだから」と彼女に渡して、展望の無くなった尾根を一気に八方池山荘へと下った。

今年最後の北アルプス訪問となるか、あるいはもう一度くらいはチャンスがあるか、そんな事を考えながら帰路についた。

 

 

 

                  2014年10月 唐松岳日帰り

 

 

 

 


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夏の終わり―上高地へ [北アルプス]

 

14sDSC_1362.jpg               昨シーズンの雪を今年降る雪が覆い隠す時も日も近い

 

14sDSC_1372.jpg                単調な下山路で心を和ませてくれる槍沢の清流

 

☆ヒュッテ大槍

北鎌尾根を見ようと外に出た。

独標から槍ヶ岳にかけては濃い雲の中にあって、さらにその雲の端が頭上まで伸びて、その辺りから白いものが舞い降りてきた。

お天気に恵まれた今回の山旅だが、北鎌尾根だけは姿を見せてくれなかった。

まあ良いか、今度歩く時に晴れてくれれば。

ダウンのファスナーをぎゅっとあげて、槍ヶ岳の朝焼けを待ってみたが雲は切れそうもなく、サンダル履きの足先が冷たくてストーブの前に戻った。

ドリンクバーでコーヒーを作って「雪だね」「外の寒暖計は3度だったよ」「北鎌見えなかったね」とボソボソと話して支度にかかった。

そして「今日は槍ヶ岳のテン場までしか行かないからゆっくり出るよ」と言うおじさんを残してヒュッテを後にした。

 

 

☆下山

急なジグザグを下り出す。

上高地までの長い下山路を、はじめのうちは「おっ、チングルマだ」とか「チシマギキョウとイワギキョウの違いは……」とか「北穂高岳の登りのフガフガという鼻息は絶対クマだ」とか「大キレットの猿の糞はなんとかならないかなぁ、岩に手を掛けようとして危うくつかみそうだった」……とか、3人にぎやかに下るのだがババ平から槍沢ロッヂを過ぎて道が平坦になると皆だんだん無口になって足下だけ見て歩くようになる。

槍見平で振り返ると槍の穂先が木々の間から見えて、下りははじめに立ち込めていたガスは時間とともに消えた様だ。

もう少し下山を遅らせれば北鎌尾根も見られたかもしれないが、天気に恵まれた4日間の山旅が出来た事思えば贅沢は言わないでおこう。

上高地まであと4時間。

横尾でラーメン、あと3時間。

徳沢でソフトクリーム、あと2時間。

明神の嘉門次小屋で岩魚とおでん、あと1時間。

右岸の遊歩道を通って合羽橋。

「ついたぁ〜」 「おつかれぇ〜」 「なんか食べる?」 「あっ、バスが来てる、乗っちゃおう」

バスがターミナルを出たとたん……ZZZzzz……。

 

 

☆今回のグルメ(小屋の夕朝食を除く)

初日

上高地:五千尺でランチのつもりだったが「団体さんで満員で、ラストオーダーに間に合いそうもない」と断られる

明神館:明神カレー

徳沢園:山菜うどん、おでん

横尾山荘:缶ビールで乾杯

2日目

涸沢ヒュッテ:ラーメン、おでん

北穂高岳小屋:パスタの時間に間に合わず 生ビールと缶ビールで乾杯 みかんの缶詰 夕食後ワインの小瓶

3日目

南岳小屋:カレー(1時間待ち……カップ麺にすれば良かった)

槍ヶ岳山荘:パス(コーヒーでも飲もうと思ったが、小屋前で例の待ち時間6時間の話に花が咲いてしまった)

ヒュッテ大槍:ドリンクバー(¥150でコーヒー、紅茶、日本茶、ココア、カルピスなどが翌日AM7時まで飲み放題)、ワイン小デキャンタ

4日目

槍ヶ岳沢ロッヂ:100円コーヒー

横尾山荘:ラーメン

徳沢園:ソフトクリーム

嘉門次小屋:岩魚の塩焼き、おでん

上高地:パス(ちょうど沢渡行きのバスが待っていたため)

 

☆挨拶を交わした外国人

長谷川ピークを下った所でチェコスロヴァキアからのカップル……プラハに行きたいな 

槍ヶ岳の肩で韓国からのおじさん2人……飛騨山脈縦走したいけど、歳だからねぇと残念そう

槍ヶ岳の登りでドイツからのカップル……槍ヶ岳のプレートを愛おしそうに抱きしめて写真撮影

上高地梓川右岸の湿地でドイツからの1人旅のイケメン青年……優勝おめでとうっと言ったらニッコリ

 

 

2014年9月 上高地〜横尾〜涸沢〜北穂高岳〜大キレット〜南岳〜中岳〜大喰岳〜槍ヶ岳〜ヒュッテ大槍〜横尾〜上高地

 

 


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